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「首相は安い店に行け」 高給番記者たちの「庶民感覚」

2008/10/23      このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ!   Yahoo!ブックマークに登録   newsing it!   コメント(25)  

   麻生首相が、毎日のようにホテルのバーや飲食店で過ごしていることについて、「『庶民感覚』からかけ離れている」との声がマスコミからあがっている。これに対して、麻生首相も「ホテルのバーは安全で安いとこ」などと反論。さらに、「(安い店に行って)営業妨害だって言われたら何て答える?聞いてんだよ。答えろよ」などと、記者に向かって食ってかかる一幕もみられた。麻生首相が「ホテル会合」の正当性を主張する一方で、記者団からは「ホテルのバー通いが良くない」ことの積極的な理由が示されることはなかった。

「ホテルのバーっていうのは安全で安いところ」

麻生首相は「東京国際映画祭」出席後、洋風居酒屋に足を運んだ
麻生首相は「東京国際映画祭」出席後、洋風居酒屋に足を運んだ

   麻生首相をめぐっては、J-CASTニュースでも2008年10月21日に「会員制バーで葉巻とお酒 68歳麻生首相の充実ナイトライフ」という記事で報じたように、歴代の首相と比べても、目だって夜の会食が多く、よく利用するのはホテル内の会員制バー。「ナイトライフ」の充実ぶりが、にわかに注目を浴びている。一方、この状況を「庶民感覚からかけ離れている」などと批判的に受け止める向きもあり、「ぶら下がり会見」でも、番記者から疑問の声があがった。

   この「ぶら下がり会見」は昼と夕方の2回行われる。「内閣記者会」の幹事社がまず質問し、それに続いて他の加盟社の記者も質問できる。カメラが入ることができるのは夕方の会見だけだ。

   「ナイトライフ」についての質問が出たのは、10月22日の、カメラが入っていない昼の会見だ。北海道新聞の女性記者が

「夜の会合が連日で、一晩に何万円もするような高級店に行くのは、庶民感覚とかけ離れているのでは」

と切り出すと、麻生首相は「高級店」を「高級料亭」と聞き間違えたのか、

「ホテルが一番多い。あなたは今、『高級料亭に毎晩』みたいに作り変えていますが、それは違うだろうが。馬尻(東京・六本木の洋風居酒屋)が、いつから高級料亭になった?言ってみろ」

と反論。記者が

「一晩に、一般の国民からすると、高いお金を払って食事をする、という意味」

と説明すると、首相は

「たくさんの人と会うと言うのは、ホテルのバーっていうのは安全で安いところだという意識が僕にはあります。だけど、ちょっと聞きますけど、例えば安いとこ行ったとしますよ。周りに30人からの新聞記者がいるのよ。警察官もいる。営業妨害って言われたら何て答える?新聞記者として『私たちの権利です』って、ずーっと立って店の妨害して平気ですか?聞いてんだよ。答えろよ」

とヒートアップ。

新聞記者の給料は庶民的?

   記者側も「われわれは営業妨害をしないように…」と釈明したが、首相は

「現実、(営業妨害)してるって。現実、みんな『している』って言われているから。だからホテルが一番(苦情を)言われないんですよ。分かります?これまでのスタイルですし、これからも変えるつもりは、今のところありません」

などと譲らなかった。

   攻防は夕方以降も続き、記者が

「首相が利用しているホテルを調べてみると、部屋を数時間利用するだけでも1泊分の料金を支払わねばならず、料金は9万円から25万円ぐらい。それは安くないのでは」

と噛み付き、首相は

「ホテルの『部屋』と断定していますが、ホテルのバーってそんなに高いところではないというのは、ご存じないのではないでしょうか」

と、半ばあきれながらかわした。

   結局、会見からは「首相が『大衆居酒屋』を使うと混乱が起こる」「首相は、これからもホテルを使い続ける」といったことぐらいしか明らかにならなかった形だ。

   記者団は「庶民」という言葉を繰り返すが、「広辞苑第6版」によると、「(1)もろもろの民。人民。(2)貴族などに対し、なみの人々。世間一般の人々。平民。大衆」という意味。

   首相が「庶民」であることが必要な理由は明らかにならないままで、記者と首相のやり取りは、かみ合わない状態が続いている。

   もっとも、取材する側も、「『庶民』とは程遠い」との指摘もある。例えば給与面を見ただけでも、朝日新聞社社員の平均年収は1358万円。幹部クラスなら2000万円プレーヤーだ。比較的経営が厳しいとされる毎日新聞でも、870万円。なお、国税庁の調べによると、07年のサラリーマン平均収入は437万円だ。

   さらに、勤務実態を見ても、庶民とはかけ離れているという指摘が避けられなさそうなのだ。

   週刊ポストが08年4月11日号で、4ページにわたって番記者の実態を特集しているが、外国特派員協会の副会長が、記者会の様子をこう証言している。

「官邸クラブの記者席には間仕切りがあって、若い記者が短パン姿でテレビを見たり、プライベートとしか思えない長電話をしている。役所の担当者が『3時から会見です』と資料を配ると、一斉にペーパーを奪ってパソコンを打ち始める。まるでネットカフェです」

   庶民とはかけ離れたところで、「庶民感覚」について議論が続くことになりそうだ。

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