ブリタニカ、「ウィキペディア過大評価」とネイチャー誌に抗議
2006年3月27日
百科事典の米エンサイクロペディア・ブリタニカ社は24日(米国時間)、英科学誌『ネイチャー』が「オンライン百科事典のウィキペディアとブリタニカは、正確性で互角」と報じた(日本語版記事)ことについて抗議し、撤回を要求した(PDFファイル)。20ページにわたる書面で、調査方法に問題があると批判。ネイチャー側も反論(PDFファイル)し、名門同士が激しく対立している。
問題になったのは、2005年12月15日号の記事。科学分野の42項目について、正確性を調べたところ、両者とも重大な誤りが4件見つかったが、小さな誤りや漏れ、誤解を招く表現は、ブリタニカが123件、ウィキペディアが162件で、「大差はない」と伝えていた。権威ある雑誌がウィキペディアにお墨付きを与えた形になり、反響を呼んでいた。
しかし、ブリタニカ社によると、調査はウィキペディアとブリタニカの説明文を、外部の専門家に分析させる形で行なわれたが、全文をそのまま渡すのではなく、一部を削っていた例があったという。その手法で「説明に漏れがあった」と指摘されるのは不当と訴えている。ネイチャー側は、説明文の長さが公平になるようにブリタニカ側を削った事実は認めたが、逆にウィキペディア側を削った例もあると反論した。
また、調査対象がブリタニカ百科事典の説明文ではなく、簡易版の『スチューデント・エンサイクロペディア』の説明文だったり、ブリタニカとは関係ない文章が紛れ込んでいた例があった。これに対しネイチャーは、ブリタニカのウェブサイトで検索した結果、表示された説明文を調査対象としたためで、あくまでブリタニカのオンライン版とウィキペディアの比較調査だと強調。無関係の文章が混ざった事実はないと確信しているという。
ウィキペディアは、ボランティアでつくられており、限界もある。信頼性を疑う声もあるため、ネイチャーが調査を試みたというのが実情だ。そんな調査に、ブリタニカが真剣に抗議したことは、ウィキペディア人気に対する焦りもうかがえる。
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