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【国際】

中国、存在感アピール ASEM 金融危機協力演出 人権などと分離図る

2008年10月25日 朝刊

 【北京=平岩勇司】二十四日に始まったアジアと欧州四十五カ国・機関が参加するアジア欧州会議(ASEM)で、議長国の中国は国際金融危機に各国と共同で対応する姿勢をアピールした。欧州諸国から指摘される国内の民主化や人権問題を避け、協調しやすい経済問題で存在感を発揮しようとしている。

 会合には二十四カ国・機関の首脳が出席。北京五輪開会式以来の多数の首脳訪中に、胡錦濤国家主席、温家宝首相らは分刻みで会談し「人的、経済的交流の促進」を確認した。会合に出席するタイとカンボジアの首相が国境紛争問題の平和的解決で合意する“成果”もあった。

 胡主席は開会式で「全世界的な金融危機に各国が共同で対応してこそ難関を乗り越えられる」と述べ、何度も「共同対応」を強調。「中国は責任ある態度で国際社会とともに金融安定に努力する」と訴えた。

 アジアと欧州の連携強化が目的のASEMは、隔年の会合で加盟国数が多く、「具体的な目標が立てられない演説大会」との指摘も。今回は金融危機が重なり中国は国際的経済協力の場を演出した。

 一方、ドイツのメルケル首相は二十三日の温首相との会談で「議題に人権、チベット、ウイグル族の問題が含まれていた」と記者団に明らかにした。同日には欧州議会が中国の人権活動家・胡佳氏に「サハロフ賞」を授与し中国へ間接的な“圧力”をかけた。

 だが中国側は「金融危機など世界が直面する課題に比べれば大きな問題ではない」(劉建超報道局長)と、人権問題と会合を切り離そうとしている。

 

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