県立中央病院(甲府市富士見1、山下晴夫院長)は24日、県内に住む50代の女性患者に点滴したところ、薬剤の種類を誤ったため、女性が一時心肺停止に陥ったと発表した。女性は蘇生し、治療を受けているが、意識が戻る可能性は低いという。
同病院によると、女性は10月2日、下腹部の痛みを訴えて診察を受け、虫垂炎と腹膜炎と診断された。翌3日に入院し、虫垂の切除手術を受けた。15日になって腹部の痛みを訴えたため、担当の30代の外科医が鎮痛剤を追加投与しようと麻酔科医に鎮痛剤の名を聞いた際、本来投与すべき「フェンタニル・ドロレプタン」を、手術時の全身麻酔に使う「フェンタニル・アルチバ」と聞き間違えた。病室で使用する薬ではなかったため、薬局が看護師に確認し、看護師も外科医に確認したが、外科医はそのまま投与してしまったという。投与には1年目の研修医も立ち会った。
投与から約20分後に看護師が病室を訪れた時には女性は心肺停止状態だったという。
誤投与された麻酔薬「フェンタニル・アルチバ」は、呼吸が止まってもおかしくない量だったという。山下院長は「薬局でも病棟でも防げなかったことに問題がある。病院全体の責任」と謝罪した。【沢田勇】
毎日新聞 2008年10月25日 地方版