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「ピカッ」は学芸員助言の可能性 芸術家集団謝罪 '08/10/25

 東京の芸術家集団が広島市上空に原爆を意味する「ピカッ」の文字を描いた表現行為で、市現代美術館(南区)の学芸員が「ゲリラ(的手法)でやるのがいい」と助言していた可能性が浮上した。二十四日、集団「Chim←Pom(チン←ポム)」のリーダー卯城竜太さん(31)が被爆者団体に謝罪した後、明らかにした。

 記者会見での卯城さんの説明によると、飛行機を使って、煙で描く方法を提案したところ、予告をしないまま実行するよう学芸員から勧められたという。「事前に被爆者の方々と話をしてイメージを膨らませたかったが、学芸員にゲリラでやるのがいい」と話した。

 美術館が表現行為に深く関与している可能性が浮上し、市市民局は、美術館の神谷幸江学芸担当課長に調査を口頭で指示した。取材に対し神谷課長は「その事は知らなかった。(担当学芸員から)確認したい」と述べた。 チン←ポムはこの日、十一月一日から市現代美術館で開く予定の個展を自粛し、中止する考えも示した。今回の表現行為は、「ピカッ」の文字と原爆ドーム(中区)を一緒にビデオに収めた作品を個展に出すための創作活動で、市に出品予定と記した企画案を出していたという。

 表現行為があった二十一日には、美術館の学芸員も撮影現場の平和記念公園(中区)に立ち会った。一方で、神谷課長は「当初からこの作品を展示する計画はなかった」と積極関与を否定しており、チン←ポムの説明と大きく食い違う。

 記者会見に先立ち、卯城さんは市役所で被爆者七団体のうち五団体の代表者と面談した。「大変不快な思いをさせてしまいましたことを深くおわび致します」と陳謝。広島県被団協の坪井直理事長は「ヒロシマを勉強していない。今回の教訓を胸に平和を追求してほしい」と語った。(武内宏介、柳本真宏)

【写真説明】被爆者団体の代表(手前)に謝罪するリーダーの卯城さん(左端)




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