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【ドラマ・企業攻防】金融危機で激化「新興不動産VS銀行」 (2/2ページ)

2008.10.25 10:17
このニュースのトピックスドラマ・企業攻防
811円安の7649円で5年5カ月ぶりの安値を表示する株価ボード=24日午後、大阪市中央区の新光証券前811円安の7649円で5年5カ月ぶりの安値を表示する株価ボード=24日午後、大阪市中央区の新光証券前

 日銀の統計によると、今年8月末の中小企業向け融資残高は前年同月比1.6%減の178兆6540億円に目減りしている。

 こうした事態を受け、中川昭一財務・金融担当相は今月15日に銀行トップらを集め、中小企業に円滑な資金供給を行うように要請。全国銀行協会も21日に積極的な融資を行うように申し合わせる異例の対応をとった。

 もっとも、全銀協の杉山清次会長(みずほ銀行頭取)は同日の会見で、「貸し渋りをしているという意識はなく、貸せないところには貸していないということだ」と、真っ向から貸し渋り批判に反論。その上で「(バブル崩壊後の)不良債権問題のような状況を二度と作りたくない」と、融資姿勢を厳格化させていることについて理解を求めた。

 実際、中小企業や建設業向けの融資を多く抱える地銀などの地域金融機関では、不良債権の増加傾向が鮮明になっている。野村証券金融経済研究所によると上場地銀87行では、今年4〜6月期の焦げ付きや回収不能に備えた貸し倒れ引当金の積み増しなどの「与信コスト」が、すでに前年同期の約2.3倍の約1520億円に膨らんだ。

 9月以降も、金沢市の中堅ゼネコン真柄建設や宮崎県最大手の志多組など地方の有力企業が相次いで破綻するなど、企業倒産は増勢を強めている。東京商工リサーチによると、9月の建設業の倒産件数は前年同月比41.1%増、不動産業も30.5%増に達しており、与信コストがさらに膨張するのは避けられない。

 さらに、「泣きっ面にハチ」(地銀関係者)のように、世界的な株安が進行し、多額の有価証券評価損も発生。9月中間決算の業績予想の下方修正に追い込まれた上場地銀は30行以上に上る。

 「いくら政府や全銀協から要請があっても、おいそれと融資を増やすことなどできない」というのが、地域金融機関の現状だ。

 経済の“血液”であるお金の流れが目詰まりを起こせば、経済活動は停滞し景気悪化に拍車がかかるのは必至だ。さらに「信用収縮→倒産増加→銀行の不良債権増大→信用収縮に拍車」という“負の連鎖”に陥る懸念もある。

 最も企業の資金需要が高まる年末を控え、新興不動産や中小企業の危機感は頂点に達しそうだ。(山口暢彦)

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マンションブームなどで手を広げてきた新興不動産会社が、世界的な金融危機のおあおりで窮地に追い込まれている(本文と写真は関係ありません)
811円安の7649円で5年5カ月ぶりの安値を表示する株価ボード=24日午後、大阪市中央区の新光証券前
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