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【主張】中韓との首脳会談 「切磋琢磨」の関係深めよ
麻生太郎首相にとって、初めての日韓、日中首脳会談が北京で行われた。世界的な金融危機にそれぞれが連携すると申し合わせたことに加え、中韓の両首脳と「互いに顔の見える」関係にすることで合意したことを歓迎したい。
中韓両国とはこうした当たり前の関係が、それぞれの国内事情で覆されてきた経緯がある。麻生首相は日中関係について「互いに遠慮する関係でなく、両国が切磋琢磨(せっさたくま)して協力することが真の戦略的互恵関係」と述べた。建設的で緊張感ある関係こそが真の友人といえる関係だろう。
首相は胡錦濤国家主席、温家宝首相との個別会談で中国製食品について「日本国民には安全性への不信感がある。信頼性がないのは問題だ」と安全対策の徹底を求めた。この問題では福田康夫前首相も首脳会談で日本国民の関心の高さに言及したが、麻生首相はさらに踏み込んだ。
中国側はギョーザ中毒事件にもきちんと対応すると述べたが、納得できる具体的な結果を示さなければ、信頼は回復できない。
李明博韓国大統領との会談で注目したいのは、北朝鮮の核問題に対し、日米韓の緊密な連携を確認したことだ。北へのエネルギー支援をめぐって3国間で不協和音が生じれば、だれを利するのかを考えれば当然な合意である。
麻生首相が拉致問題への韓国の協力を要請したことに対し、大統領は「北朝鮮は非人道的な問題にも対応すべきだ」と強調した。拉致被害者は韓国でも少なくない。双方の協力が拉致問題の解決を促すことを強く期待したい。
首相はまた、中国側にも拉致問題が実質的に進展するように北朝鮮への働きかけを求めた。中国はこれまでも協力を約束しているが、具体的な成果を示すことで日本国民の対中感情が大きく改善されることは間違いない。
日中間では首脳間の意思疎通を密にするホットライン活用、日韓では首相が大統領と随時電話会談することをそれぞれ確認した。
日韓関係は今年7月、竹島に関する新学習指導要領の解説書に対し、韓国側が反発し、両首脳が相互訪問する「シャトル外交」が危ぶまれた。大統領は「行き止まったことはあった」と述べた。
成熟した未来志向の関係がいかなるものかを電話会談などを通じて現実に示してほしい。