政局2008
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【経済】時価会計凍結に反発 公認会計士協会長ら会見2008年10月24日 朝刊 世界的な株安で含み損を抱え、財務が悪化する恐れのある銀行界などから「時価会計を凍結すべきだ」との声が出始めた。しかし、会計ルールの恣意(しい)的な変更は十年前の金融危機の際、投資家の売り浴びせを受けた“いつか来た道”。強硬に反対する意見も相次ぎ、しばらく両者のせめぎ合いは続きそうだ。 「会計は企業の実態を反映する鏡。時価会計の凍結は到底、賛同できない」。日本公認会計士協会の増田宏一会長は二十三日に異例の会見を開き、語気を強めた。 時価会計は、株式や証券化商品など企業が保有する有価証券を決算ごとに市場の取引価格で原則評価する方法。保有する証券が取得価格より下落するほど評価損が生じる。このため横浜銀行の小川是頭取は「時価会計適用の停止を考えてほしい」と要望。自民党内にも同様の意見がある。 これに対し、増田会長は「(基準変更で)経営状態が良くなるわけではない」と強調。実際、十年前の金融危機で、国内銀行に株式の評価損が生じない会計処理法が認められたが、投資家が独自に銀行が保有する株式の含み損を計算し、銀行株の下落に歯止めはかからなかった。 東京証券取引所の斉藤惇社長も二十三日開かれた企業会計審議会の席上、「われわれは再び十年前に戻る恐れがある」と発言。過去の教訓に学ばない関係業界に苦言を呈した。 (桐山純平)
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