遺伝子組み換えカイコを使い、緑や赤、オレンジの蛍光色を発する絹糸(1面NEWSLINEに写真)を作り出すことに、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが24日、世界で初めて成功したと発表した。衣料やインテリア用品への応用が期待される。
従来の方法で繭から絹糸を取り出す際、繭を膨張させて糸をほぐす煮沸作業が必要で、蛍光色を作り出すたんぱく質が破壊される課題があった。研究チームは、約60度のお湯の中に入れて化学処理した繭を一時的に真空状態にするなどの工夫をしたところ、煮沸なしで絹糸を取り出すことに成功した。
また、今年のノーベル化学賞の受賞対象となったオワンクラゲが持つたんぱく質を作り出す遺伝子をカイコに組み入れた。得られた絹糸に青色の光を当てると緑の蛍光色を発した。サンゴの遺伝子を使い、赤とオレンジの蛍光色を発する絹糸も作り出した。
田村俊樹・遺伝子組換えカイコ研究センター長は「5年以内の商品化を目指したい」と話す。【石塚孝志】
毎日新聞 2008年10月25日 東京朝刊