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給食エゾシカ丼に銃弾…でも「やめないで」の声

 北海道釧路市の市立小学校で給食に出たエゾシカ肉から、銃弾の破片とみられる金属片が見つかった。シカが野生の時に猟銃で撃たれ、弾の破片が混入した可能性がある。児童らに健康被害はなかったが“地産地消”を推奨する学校給食から思わぬ異物が見つかり、関係者らはショックを受けている。

 市教育委員会学校給食課によると、釧路市立中央小学校で23日昼、3年生のクラス担任の教員がシカ肉を皿に盛りつけた際、児童の1人が長さ約9ミリ、幅約4ミリの金属片が混じっているのを発見。教諭が金属片を取り除き、給食はそのまま続けられたという。市がシカ肉を納入した市内の業者に説明を求めたところ、ハンターでもある社員が「金属片は猟銃の弾の一部だろう」と確認した。

 釧路市は食育促進などから、その地域の農水産物をその地域で消費する「地産地消」を積極的に取り入れており、昨年10月から年1回、給食にシカ肉の提供を始めた。献立名は「鹿肉丼」。豚ロースの焼き肉などのように、エゾシカ肉をタマネギ、ニンジンと一緒に炒めて、焼きダレで味付けし、ご飯とは別の皿に盛る。市の調査でも「生徒の7割がおいしかった」と好評だったため、今年も提供された。

 市内23校で9351食分を用意。エゾシカ1頭から取れる食肉は1・5キロ程度で、250〜300頭分(350キロ)のスライス肉が調理された。納入業者は加工段階で金属探知機による検査を実施したが、チェックをすり抜けていたという。また、調理をした給食センターでも異物混入に気が付かなかった。

 市教委が謝罪のため児童の母親を訪ねたところ「子供が楽しみにしている。今回のことでやめないでほしい」と逆に励まされたという。31日には市内11の中学校で提供する予定だったが「豚の焼き肉」(約4700食分)にメニューを変更する。

 阿寒湖周辺ではエゾシカによる森林の食害が深刻化。駆除作戦の1つとして森林で生け捕りにした野生のエゾシカを牧場に移し、育てた上で加工している。同課は「シカが野生のときに猟銃で撃たれ、弾の破片が混入したのではないか」と説明。故意による混入の可能性はないとみている。

 ▼エゾシカ 北海道に棲息。オスは体長90〜190センチ、体重50〜130キロ、メスは体長90〜150センチ、体重25〜80キロ。夏は茶色の毛で、冬は灰色の毛になる。1920年に棲息数が減少したため捕獲が禁止され、57年に捕獲禁止を解除。90年代以降、急激に増加し、天然林、牧草地、畑での食害や自動車・列車事故が多発し社会問題に。2000年代からは捕獲数を増やし、エゾシカの肉を食用として流通させたり、革製品を製造、販売する試みが行われている。

[ 2008年10月25日 ]

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