【ロンドン藤好陽太郎】石油輸出国機構(OPEC)の大幅減産合意は、原油急落に歯止めがかからないことへの焦りを示したものだ。非OPECだが世界2位のロシアとも減産で協力を目指し、価格をコントロールしたいとの執念を見せた。だが、実効性には疑問の声が出ている。
市場では日量100万バレルの減産を有力視していたが、OPECは価格下落に歯止めがかからないことを懸念し、拡大したとみられる。総会を異例の短時間で切り上げ、市場へのインパクトも狙った。
イランやベネズエラなどにとって、採算割れとみられる1バレル=60ドル割れは何としても避けたい事態。「国家歳入の多くを原油収入に依存し、採算割れは死活問題」であるためだ。
これに対して、親米派の盟主サウジアラビアは世界景気の後退を懸念する立場。しかし、専門家の「100万バレルの減産では、原油下落は止まらない」との見解を冷静に分析したようだ。「政権末期の米国よりも、OPECの一体感を優先した」との見方も出ている。
毎日新聞 2008年10月25日 東京朝刊