「カップヌードル」など日清食品製の即席カップめんを食べた人が相次いで異臭などを訴えた問題で、同社は24日会見し、4月以降、同様の苦情が多数寄せられ、うち21件から防虫剤成分のパラジクロロベンゼンなどが検出されていたことを明らかにした。同社は「防虫剤のそばに保管し、昇華した成分が容器を通過してうつった可能性がある」との見解を示した。【川上晃弘、山本太一、吉田勝】
この問題では、カップヌードルを食べた神奈川県藤沢市の女性(67)が吐き気を訴えたほか、大阪市西淀川区の男性(63)ら家族3人が薬品臭を訴え、いずれの商品からもパラジクロロベンゼンが検出された。また、同社が日本生活協同組合連合会を通じて神奈川県横須賀市などで販売した「CO・OPカップラーメン」など5品目からもパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出されており、同連合会には今年3〜9月に29件の苦情が寄せられていたが、いずれも公表されていなかった。
日清食品によると、同社に寄せられた苦情のうち、保健所が検査中の藤沢市の商品を除き21件で防虫剤成分を検出した。うち2件の濃度は18〜92ppmで、大阪市のケースを含む残り19件はごく微量で数値が出なかった。同社は健康被害を訴えている人がいないことを強調し、「健康に影響はないレベルの濃度」としている。
一方、成分混入のメカニズムについて同社が独自に実験したところ、未開封の即席めんを防虫剤のそばに一定時間置くと、カップや袋を通過して成分がうつったことが分かった。
においについての苦情は、これまで年間数件ほどだったが、4月にカップヌードルを含む主力商品の容器を発泡スチロール製から紙とポリエチレンの3層構造の「ECOカップ」に変えてから増えたという。21件中5件がこの容器を使った即席めんで、同社は容器の改良を進める方針。
防虫剤成分が検出された商品はロットも生産工場もまちまちで、藤沢市の女性のケースでは製造した工場の監視カメラを確認しても異常はなく、混入はないとみている。
成分がうつったとの説明について専門家は「パラジクロロベンゼンは昇華しやすく、容器をつくる化学物質と構造が似ているなどの理由で、ありうる現象。ただし、人がにおいを感じたり、食べておかしいと思うほど高濃度になるかどうかは検証が必要」と指摘している。
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