ラーメン: 2008年6月アーカイブ
先日のラーメン産業展には割り箸の業者も出展していた。
店名など好きな文字を刻印できたり、箸袋が「おみくじ」になってたりと、いろいろ工夫があってなかなか楽しい。
その中で、面白いというか、気になったのが「e-stick」という割り箸。
割り箸なんだけど、プラスチック製。
洗い箸じゃないのよ。割り箸。
2本とも箸の長さは同じ
写真の2膳の箸は基本的に同じデザインだが、赤い方には「箸置き」がついている。(^O^)
箸置き付きバージョン
この箸置きが役に立つのかどうかはよくわからん。(^^;;
この箸は割り箸なので使用は1回限り。使うと専用の回収箱に入れて着払いで業者に送付する。業者ではこの使用済みの箸を 洗浄⇒リサイクル して、木製の割り箸に比べてCO2の排出を削減できるという。
口頭での説明では 洗浄⇒粉砕⇒再成形⇒割り箸として再生 だと認識したのだけれど、サイトを見るとそこまではっきりとリサイクルの内容は説明していなかった。
#「使用後のイースティックは当社が回収しリサイクルいたします」としか書かれていないので、まあ「割り箸として再生」とも受け取れるし、そうでないようにも受け取れる。箸袋には「使用済みのプラスチック割箸は回収され様々な製品に活用されます」とある。「様々な製品」となると、
「しかしプラスチック製だと、食べ物が滑って使いにくいんだよねえ」
と、思うでしょ? 私もそう思った。
特に麺類を食べる時は、これはかなり決定的で、だからこそ(塗り箸ではなく)木製の割り箸が合う、というのもある。
しかしなんと(^O^)、写真の箸は、麺専用に開発された箸なのだ。
箸先は、こういうことになっている。
先端恐怖症め、恐がるがいい。
サイトによると、
「スープが良く絡む箸!箸の先端にスープを絡ませるスープ溝を持たせました。旨みを7倍絡めてお口まではこびます!」
だそうだ。やるじゃないか。(^O^)
で、これで1膳数円(送料など込み)。
高いか安いかはよくわからん。割り箸は1膳1円以下のはず。
洗い箸だと洗うコストとかもあるし。
でも、なんか面白いね。
箸の先はこうなっている。
ギザギザで麺を、ミゾでスープをhold!(かな?)
純情屋のYA君が言うには、この箸の先の形状だと、箸を持った時にギザギザが鉛直方向になるのでやっぱり麺が滑っちゃうだろうから、↑の図で言えば左右方向にギザギザをつけないと意味ないんじゃないかと。
それに対して私は、
「いやそれはどうかわからんぞ。F-1のレインタイヤとスリックタイヤの違いっていうのは水を逃がす溝があるかないかや。ほら、ここにスープをholdするミゾがある(↑図の灰色部分)。水分はこの溝に逃げて、麺はあっさりとholdするのかもしれん。ひょっとしたら普通の塗り箸を使うと麺が滑るのはギザギザがないからよりも、ミゾがないからかもしれん」
ちなみに私もYA君も、この箸を使ったことはない。(^O^)
今度どっちが正しいか試してみよう。
ちなみにミナミの宗家一条流がんこラーメン十八代目で使ってる洗い箸は、麺の引っかかりといい清潔感といい、ラーメン屋の洗い箸としては最適の部類なんじゃないかと思う。
突然食いたくなったものリスト:
- フロマージュ1-2
本日のBGM:
Hearts /Martin Balin
先日お伝えしたとおり、<ま、ラーメンでも一杯。>を更新した。
これを記念して?、過去(2006年末)に書いた記事にちょっと訂正など加えてもう一度上げておこうと思う。
ラーメンのガイドブックの比較について。
まあきっとこれはラーメンに限らず、いろんなガイドブックにあてはまる話だと思う。
#ラーメンは店の移りかわりが激しくて市場もそこそこ大きいから他より顕著ではあるかな。
2007年度版のラーメンガイド本(関西版)2冊が出揃った。
『関西版 噂のラーメン 2007』(日本出版社)と『たべあるきnavi 関西激うまラーメン』(昭文社)の2冊。
昔は(毎年出ると言わないまでも)エルマガジンとかぴあとかからも出ていてもっと種類があったんだけど、この数年はこの2冊しか見かけないね。
両方買うのは2年ぶり。
私は2006年版を買いそびれたと思っていたのだけど、『激うまラーメン』はどうやら2年に1回の発行らしい。そういえば今回買ったものも「2007年度版」など「1年ごと」を思わせる記述はない。(^O^)
『噂のラーメン』は毎年出てる。表紙にはちゃんと「2006」とある。
前に買った(2005年版の)『関西激うまラーメン』は2005年中になくしちゃったので(^^;;、2006年は主に『噂のラーメン』と『KansaiWalker』(2006 No.4)の通巻300号記念特集号(関西のラーメン店300軒のリスト)を使って食べ歩きをした。
こういう本は新しい店を見つける時にも使うけど、主な使い道はデータ取得にある。場所、開店時間など。
なのでなるべくは新しいデータがほしいのですよ。
で、1年間、『噂のラーメン』をメインに使って感じた......というか、昔から何となく感じていたもののメインにしてみて身に染みて実感したことがある。
『噂のラーメン』と『激うまラーメン』の違い。
この2冊、両方とも定石通り店の紹介、その店のお薦めラーメンの写真、電話番号、住所、地図、開店時間、定休日などの基本データが掲載されている。
『噂のラーメン』記事
『激うまラーメン』記事
そういう意味では同じなのだが。
しかし。
2冊を比べると、『激うまラーメン』(昭文社)の方がガイド本として圧倒的に優秀なのだ。
これはね、もう、『噂のラーメン』は『激うまラーメン』の足元にも及ばないと言ってもいいくらいの、雲泥の差。
何が違うかというと、コンセプトというか、一体どういうつもりで本を作ってるんだという、心根が違う。
伝統あるガイドブックにこう言ってしまってはナンだが、『噂のラーメン』は読者のことをあまり考えていない。「ラーメンガイド本は、ある部数は確実に売れる」という事実に甘えてるだけ。「(データが)あればいいだろう」という感覚。なので「新しい店を紹介する」以外に改善の余地がない。読者の使いやすさ(使いにくさ)に気がまわらない。
反対に『激うまラーメン』は、かなり使う側の立場に立って作られている。これは発行元の昭文社が地図屋さんであることや、その絡みで他のガイドブックもたくさん手がけているという経験もあるのだろう。細かいところに気遣いがあり、この2者には超えがたいカベがある。
#本当は掲載する店についてもかなり差があると思っているが、それは今回は触れない。
そう思わせる決定的な違いが2つ。
たった2つだが、私は両者を一流と三流に分ける決定的な差だと思っている。
別に両者に恩も恨みもないが、一流の心遣いをちゃんと賞賛しておきたいのと、三流が三流であることに開き直ってノホホンとしているのが腹立つので、ここに書いておく。
具体的な指摘をする前に、こういう本の読者設定から押さえておこう。
- こういうガイドブックを「わざわざ」買う人というのは、「わざわざ」ラーメンを食べに行く人である。
- おそらくは「食べ歩き」をする人。
- とはいえほんとに歩いていく人はあまりいないだろう(^O^)。交通手段は電車の場合もあればクルマの場合もある。
- 「ハシゴ」もあり得る。
- 基本的に「知らない店を知る」ために読む。(知ってる店ならこんな本なくても行ける)
とりあえずこのくらいか。
これを押さえた上で、両者を一流と三流に分ける点とは何か。
それは、「地図」と「索引」。
2点と言いながら結局は「検索の利便性」という1つの問題に収束するのだけど。
初めての店を探そうというのはどういう時か、ちょっと考えていただきたい。
「ラーメン食いたいが、どういう店があるかね?」
「●●方面に行く/いるんだけど、近くにいい店がないかな?」
こういう時、一番大切なのは「場所」なんだよね。もちろん営業してないと意味ないから開店時間も重要(それを確かめるための電話番号も重要)。もちろんどんなラーメンかも必要......だが、こういう本はとりあえず「うまい店ばかりを集めました」という建前なんだから、味は場所とか開店時間ほどには重要でないかもしれない。まあ同等でもいいけど。
とにかく、場所が判らないとどうしようもない。ハシゴしたい場合などはなおさら。(^O^)
で、以下の広域地図、どちらがあなたのニーズに合うだろうか?
『噂のラーメン』の地図
『激うまラーメン』の地図
『噂のラーメン』の広域地図は、ほんとにこれだけしかない。指定されているページはこの地域の個別の店のデータが始まるページというだけ。
あとは個別の記事のところに最寄りの駅を含んだ近所の地図があるのみ。
これではちょっと●●方面に行くんだけど......という人には全く使えない。(個別記事中の地図の範囲内にいない限り)
ハシゴしようという人も全然計画が立てられない。
その店にピンポイントで行きたい人だけしか使えない。
それに比べて、『激うまラーメン』の広域地図は、近畿圏をカバーした地図から京阪神、主要都市など、かなり段階を踏んだ詳細な地図で、その範囲内の店が一覧できるように工夫されている。(↑この地図だと、「P.20キタ」の部分はまた別ページに詳細地図がある)
こうしてもらえるとある特定の駅から近いかどうかだけではなく、自分がいる地点からどのくらい足を伸ばせばいいとかまでよくわかる。
ハシゴの計画も立てやすいし、使われているのがちゃんとした地図なので、これ1冊あれば電車はもちろん、クルマで店にたどり着くことも可能。(『噂のラーメン』に載ってる地図だけじゃちょっとムリ)
このあたりはさすが昭文社は地図会社!と言うべきところですな。
『噂のラーメン』だって、ちゃんと地図使用のライセンスをとれば同じことができるはずなんだよね。あるいは初回だけデザイナーにギャラをはずめば。しかしいつまでたってもそれをやらない。
これによって使う側はかなり不便を強いられているはずだが、長年、改善の徴候なし。
(東京版の場合は結構詳しい地図が載っている。しかし東京の場合はクルマでの移動というのがそれほどメジャーではないように思うし、そうだとすればむしろ関西版の方の地図の方が詳細であるべきだと思う)
あ、もちろん、個別の店の紹介ページのところにある地図は両者ともちゃんと使えるものですよ。どちらの本でも、最寄りの駅からちゃんと店にたどり着けるように書かれている。それは上記の個別記事の地図を見ていただけるとわかると思う。
ただ、この地図はそれぞれの店の最寄りの駅までの範囲なので、結局、店→地図という検索(「この店に行こう。どうやって行くのかな? ......なるほど」という探し方)しかできないのだ。
地図→店という探し方(「この近くにはどういう店があるかな? ......ああ、こういう店があるのね。だったらここにしよう」みたいな探し方)を全く考慮していないところが『噂のラーメン』の大きな欠点。
そしてもう1つのポイント、「索引」。
索引というのは「あの店、どこだったかな?」というような、店の名前が判ってる時に使うものだ。
『噂のラーメン』索引
『激うまラーメン』索引
伝わるかな? 『噂のラーメン』の索引のバカバカしさが。
『噂のラーメン』の索引だと、例えば「作ノ作」は『さ』には載ってない。「満月」は『ま』には載ってない。「一撃亭」は『い』には載ってない。
「作ノ作」は『か』、「満月」は『て』、「一撃亭」は『き』に載っている。
なぜなら、これらの店の正式名称が、
「作ノ作」は「元祖豚骨ラーメン 作ノ作」、
「満月」は「手打らーめん 満月」、
「一撃亭」は「九州最強努豚骨 一撃亭」
だからですよ。
もうね、アホかと。(+_+)
ここまで店名全部覚えてるヤツおるか?
正式名称?になると「ラーメン」「麺」から始まる店がやたら多いので、索引も無意味に『ら』『め』から始まる店ばかりが並んでいる。
これ、何か役に立つのか?
ほんとに読者が便利になるように作ってるか?
これも昔から改善の気配なし。
結局、こういうデータ本というのは、膨大な数のデータの中から望みのデータを見つけること(つまり「検索」だ)が目的なんだからして、索引と地図は生命線とも言えるわけですよ。
それなしでデータの新しさだの量だのを追及しても、あんまり意味がない。
(雑誌だと店の個性とかが紹介のキモになるのでちょっと違うんだけども)
最初に私が『噂のラーメン』のことを「(データが)あればいいだろう」という態度だと書いたのはこういうこと。適当に新店の情報を入れておけば読者が喜ぶと思っているのかもしれん。しかしいくらデータを並べてもちゃんと検索できないと価値は半減以下だ。
読者をナメるにも程がある。
......と、これがこの2冊を一流と三流とに明確に分けている点。
両方使ってみて、わかった。
もしもできたら、営業時間別の索引もあればありがたいかな。
これを載せてるガイドブックはほとんどないけど、昔エルマガジン社が出していた『うまラーメン』という本には「深夜ラーメン」という索引がついていて、夜の閉店時間別の索引が掲載されていた。もちろん「飲んだ後のシメの1杯」という需要を見込んでの索引。(^O^)
私の場合は、昼の仕込みの時間帯にラーメン屋を探すのにいつも苦労するので、夜に限らず営業時間による索引があったら非常に役に立つと思ってる。
......まあしんどいだろうけど。
実際、自分のサイトでそれやるか?と言われたら、やりたくないもんねえ。(^^;
でもね、やっぱり、あるとありがたい。(^O^)
出版社の皆さん、ひとつ。m(_ _)m
もう1つ、疑問というか、あがりそうな話なので書いておこう。
「本や雑誌で採り上げられてる店がうまい店か? マスコミに乗ったからってうまいとは限らんし、マスコミに乗ったことがなくてもうまい店はあるだろう」
という疑問。
これはその通りだ。
もちろんデータ本信仰などしていないことは私の書いてるものを見てくれれば判っていただけると思う。
ただし。
これまでの経験からして、マスコミに乗ったことのない店でうまい店というのは本当に少ない。
もちろん、ないわけじゃない。そういう店もある。
確率の問題。
行ったことのない店があったとして、どこにも採り上げられたことのない店と、採り上げられたことのある店、どちらが「アタリ」の確率が高いでしょう、って話で。
しかも近年はインターネットという情報源もあるわけだから、それにまで乗らないような店は、正直言って一番最後でいいんですよ。残念ながらね。
てなわけで、信仰ではなく合理的判断として、ガイドブックに一定の信用をおいておるのだということ。(もちろんチョウチン記事もたくさんあるけど、何軒か失敗すれば、そういうのも見分けられるようになる)
突然食いたくなったものリスト:
- おにぎりせんべい
本日のBGM:
Pay Me /KUWATA BAND
<ま、ラーメンでも一杯。>を更新しました。
前回の更新が2007/02なので、もう1年以上放置していたことになる。
まったくねえ。
今回は35軒を追加し、8軒の記事に追記してます。
数が多くなりすぎて、地域の分け方にも無理が出てきたし、トップページの更新履歴も非常に見づらい。(^^;
しかしそこまで手が回らない。
誰かやってくれないかな。(^^;;
この1年以上を振り返ってみて、感じるのはつけ麺の流行、Wスープの定着、自家製麺の広がり、そして無化調の店の増加、かなあ。
自家製麺の広がりとつけ麺の流行は無関係ではないと思う。
化学調味料の話はちょっと前のエントリでも紹介して、なかなかの反響(凄いアクセス(^O^))があったのだけれども、これはラーメンにとっては古くて新しい問題よね。
しかし(他の地域は知らないにしても)関西のラーメン界は、無化調は確実な潮流になっているようだ。先の化調についてのエントリのコメント欄で黒猫亭さんと話したとおり、おそらくはこれからは無化調を前面に出す店とそうでない店の二極化が(無化調の店の増加という形で)進んでいくんだろうなあ。
久しぶりに更新したので要領も忘れてて、なんか変なところがあったら指摘して下さい。どうぞよろしく。
突然食いたくなったものリスト:
- ロシアンティー
本日のBGM:
ペーヴメントで I love you /ラブ・ポーション
「うちは味の素なんか使ってへんで。うちはな、ハイミーや」
と、自慢げに話したラーメン屋のオヤジがいたとか。
ハイミーは味の素の2倍以上するので、「高級品を使っている」という素朴な自慢なわけだ。
化学調味料の有害性云々の問題については私はあえて踏み込もうと思わないし、自分が自分で家で食べる分には使うことに抵抗はない。
ラーメン屋でも、使われて気持ちのいいものではないが、たいていの場合は使用していてもわからない(世の中にはすぐわかる人もいて、凄いと思う)し、最終的にうまくなるのなら許容してもいいと思っている。
ただ、それは客の立場からの話であって、作る側にそれを言われるのはイヤだと思う。その分の手間をかけないと宣言しているようなものだから、他の部分でもそういう姿勢でやってるんじゃないかと思ってしまう。だからあえて「化学調味料不使用」と謳っているところはがんばってほしいと思う。
で、普通は冒頭のような無邪気な店主はそれほどおらず、たいていは化学調味料の使用は隠す、客も疑問を持ちながらもあえては問わないというのが、ラーメン屋と客との不文律になっている。
安い店やチェーン店なら「ああ、そりゃ使ってるでしょ」と織り込み済みで行くわけだし、そうでなくても調理台の上にある白い粉の入った入れ物を見かけたら、「ああ」と思いつつ、声を呑み込む。そんなもの。大人だもん。
アイドルだってエッチはしてるだろうけど、あえて「やってます」とか、「あなたはやってますか?」と聞く人はいないでしょ、という感じかな。やってそうだと思っていても、1%の可能性を残してそこにはあえて触れないというか。違うか。違いそうだがわかってくれ。
繰り返して恐縮だが、私は店側が化学調味料を使ってもいいじゃん、と言うのはイヤだ。それは「有害性」云々だからではなく、味にかける手間を省きますと宣言しているようなもので、その姿勢はそれ以外の別の部分にも出てくると思うから。
少なくとも露わにしない、というのがたしなみではないのかと。
で、私は今回、あるスジから(^O^)なかなかショッキングな資料を入手した。
「味の素」「ハイミー」でおなじみの味の素KKが制作した、対象をラーメン屋に絞った業務用商品の販促小冊子。
おそらく全国のラーメン屋にDMで送っていると思われるので、かなりの量が出回っているはず。ググってみると、全国には38000軒くらいのラーメン屋があるそうだ。(^O^)
この小冊子、題名は
「明日のラーメン界を担う精鋭に贈る、独立企業支援ブック
ラーメン界のリーダーたちに聞く独立奮闘秘話
オレの味を探せ!」
という。「ラーメン界のリーダーたち」とは、
東池袋大勝軒 山岸一雄
ちばき屋 千葉憲二
くじら軒 田村満儀
なんつッ亭 古屋一郎
の4人。
東池袋大勝軒の山岸一雄氏といえばラーメン好きでなくとも知っている、ラーメン界の伝説的人物だ。去年の7月に東池袋大勝軒が閉店した時には報道ステーションなどでニュースとして報じられたくらいで、私も一度は食べてみたかったと思っている。
ちばき屋の千葉憲二氏は、最近名前を知った。どうして知ったかというと、この人、今年の4月に正式発足した日本ラーメン協会の会長(訂正:理事長)なのだ。この協会自体、何がやりたいのかイマイチはっきりわからないんだけども、まあとにかく、初めての全国的ラーメン屋組織のトップに君臨する男、ということになる。(^O^)
くじら軒はなんばパークスにあったラーメンコンプレックス「浪花麺だらけ」に店を出していた。食べたこともある。あまりうまいとは思わなかったけど、有名店らしい。
なんつッ亭は名前と店主の顔しか知らない。店主の顔は昔、テレビで見たのだと思う。
というわけで、全部関東の店ながら、大阪の私でもそれぞれなんらかの形で知っているほどの店だ。「ラーメン界のリーダー」なのかどうかはわからないけれど、ひとかどの「成功者」であることは間違いないだろう。
さて、その「成功者」たる彼らがここで語るのは、実にショッキングな事実であった!(大げさ (^O^) )
彼らが語るのは、彼らの「うま調」の使い方。
「うま調」とは競走馬調教師のことではなく、うま味調味料=化学調味料のこと。味の素KKの販促冊子だからして。
大勝軒山岸: グルタミン酸、イノシン酸...『うま調』はうま味の固まりだよね。一年を通じて四季があるように、素材の状態も毎日移り変わる。大事なのは、その変化を感じて自分の味に調整していく力なんだ。その過程で味をまとめてくれるのが『うま調』。オレにとっては、ずっと親しんできた安心できる味。これ無しでは『大勝軒』の味は出せないよね。 |
山岸氏にそう言われてしまうと、そうですかと言うしかないよねえ。そうですか、「これ無しでは『大勝軒』の味は出せない」ですか。......うーん。
ちばき屋千葉: 今手に入る素材は、絶対的にはうま味が足りないんだよね。だから『うま調』を使う。もちろん『うま調』に頼りすぎるのは論外だよ。味のバランスが取れたスープに、更に『うま調』で味を足してやるんだ。料理の味を引き立たせるのが『うま調』。オレの感覚では、『うま調』の入ってないうまいラーメンってのは、ちょっと考えられないんだよなぁ。 |
えええええ。
「『うま調』の入ってないうまいラーメンってのは、ちょっと考えられない」って......。まままままま(仁井原調)まじですか?
日本ラーメン協会会長......。_| ̄|○
くじら軒田村: 自分は『うま調』の味が好きなんですよ。だから自信持って入れてます。同じ味を自然の材料で出したら、びっくりする位のコストになってしまうしね。昆布なら、3倍は入れないとこの味は出ないですよ。『うま調』を上手に使えば、びっくりする位味の良いスープができる。もちろん使い方によるけれど、ラーメンに入れるにはとてもいいものだと思いますよ。 なんつッ亭古屋: 修業先の店で『うま調』を入れてるのを見た瞬間は、正直「あ~、やっちゃってる」って思ったね(芙)。それだけでうま味を出してるっていう思い込みがあったから。今ではとんこつラーメンに『うま調』は欠かせないと、胸を張って言ってます。素材から引き出した様々なうま味を、『うま調』がまろやかにまとめてくれる感じだね。個人的には『うま調』がある程度しっかり入った味が好きなんですよ。 |
「『うま調』の味が好き」って言われちゃうと、それ以上何も言えないよなあ。
大勝軒山岸: 「素材の状態も厨房の状況も、全く同じ日っていうのは無いからね。スープの機嫌を見ながら最後にバランス良く『うま調』を加えれば、味をうまくまとめてくれる。決して『うま調』を入れれぱいいと思っちゃいけない。『うま調』を使いこなしてやろうっていう気持ちが大事だね。ラーメン屋は毎日が勉強の連続。満足したらそこでおしまいなんだ」 |
山岸氏が言うと何でも「まあこの人が言うなら」と思ってしまいそうになるのがどうにもなあ。(^^;
ちばき屋千葉: 「結局素材も調味料も、本当にいいもんの味を知らないやつには、いい味は作り出せないのさぁ。それだけ飲んでも十分うまいスープに『うま調』を足すと、味のレベルがグッと引き上がる。このバランスが腕の見せどころさあ。スープ、麺、具材...それぞれ食べてもおいしいもんを、一つの丼に合わせたのがうちのラーメン。基本の味をきっちり作れないと、いくら『うま調』を使ってもいい味のものはできないんだよな」 |
「それだけ飲んでも十分うまいスープに『うま調』を足す」必要がどこにあるのか、わからんのだよなあ。
くじら軒田村: 「うちでは、『味の素』とい『ハイミー』を50:50でブレンドして使ってるんですよ。『ハイミー』には昆布とかしいたけとか、いろんなだしの素も入ってるから。『うま調』を使えば、スープに使う昆布の量が1/3程度で済む。コスト的にも本当に助かってますよ」 |
このあたりが本音だろうなあ。
その意味ではやはり経営者の味方だわな。
化学調味料は、「時間」。そして「時間」=「お金」なのだ。
しかしそうか、ブレンドの割合にもこだわりがある。(^O^)
これはこれで極めると凄いのかも。
なんつッ亭古谷: 「自信を持ってお客さんにお出しするために、自分でも色々調べたんですよ。『うま調』は、言ってみれば『アミノ系調味料』だな、と言うのがオレの結論。もちろん摂りすぎは良くないけど、それはしょうゆでも味噌でもスポーツ飲料でも同じこと。店のホームページにも『うま調』使ってます、と胸を張って書いてますよ」 |
店のホームページ(http://www.nantsu.com/index.htm)では、そういう記述は見つけられなかった。探し方が悪いんだと思う。
01 スープに使う
まあ買う側に「悪くないんですよ」とプロパガンダする冊子だからして......。
大勝軒山岸:
「長時間煮込んで、スープがほぼ出来上がったところでバーーーツと『味の素』をでっかい鍋に振り入れるんだ。スープの味を見て、量は感覚で調整する。『味の素』の缶を両手に持って入れてたから『二刀流』なんて言われたりしてたね」
ちばき屋千葉: くじら軒田村: なんつッ亭古谷: |
あまりにあっけらかんとしている。
しかしちばき屋、ほんと、十分うまいならそれで満足してくれ。
何というか、上の3人はまだ、世代的にアリだとは思うのよ。高度成長期世代というか。
でもなんつッ亭古谷氏まで同じことをやって、ほんとにそれでいいんだろうか。
02 元ダレに使う
大勝軒山岸:
「元ダレに『ハイミー』は、入れたり入れなかったりだね。というのは、その日のスープの出来次第で決めてたから。スープのうま味に納得できないときは、元ダレに『ハイミー』を入れて助けてもらってた。かつおなんかの風味調味料を入れるのもテクニックの一つだね。食べたときにおいしく感じることが重要だからね」
くじら軒田村: |
「かつおなんかの風味調味料」ってのは、ほんだしとかのことなんだろうな。
くじら軒、そこまでやってるんなら、無理に入れなくてもいいんじゃないのか。
03 具材に使う
ちばき屋千葉:
「うちの半熟煮玉子の秘訣は、塩分濃度。ちょうどいい塩加減の漬け汁に一晩漬けて中まで味をしっかり入れると、プリプリした良い味の半熟煮玉子が仕上がるのさぁ。漬け汁に『ハイミー』入ってるかって? もちろん入ってるよ。しょうゆ、みりん、酒なんかの調味料と一緒にね」
なんつッ亭古谷: |
伝わるだろうか、その熱意......。
いやその、ほんと、ねえ。
いや、いいんだけど......。
うーん。
あああ、アイドルがラブホテルから出てきたところの写真を公表したような気分だな。
大人気ないというか。
いやでも、うーん、やっぱりショッキングな冊子だった。
18歳未満は真似してはいけませんよ、やっぱり。
こんな感じ。
詰まるところは味向上ではなく、コストダウンという文脈の話だからして。
そして、その後ろめたさに対して、
「こんな凄い人たちも使ってるんだ。いいんだな」
と背中を押すための冊子なんだよね。
いやはやびっくらこいた。
突然食いたくなったものリスト:
- マカロニグラタン
本日のBGM:
Joint /RIP SLYME
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