トヨタ自動車の08年9月中間連結決算で、主力の北米事業が実質ベースで営業赤字に転落することが23日分かった。トヨタの北米事業が実質赤字に陥るのは、米ゼネラル・モーターズとの合弁生産を開始し、米国市場に本格参入した80年代以降で初めて。世界的な金融危機に伴う自動車販売の落ち込みで減産を強いられたことが響いた。
中間決算では、金利などの変動に備える金融商品(金利スワップ)の評価益で名目上の黒字は確保する見通し。
トヨタにとって北米は、08年3月期に3967億円の実質営業利益を稼ぎ出したドル箱的存在だ。しかし低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う景気低迷とガソリン高で、大型車を中心に販売が低迷。08年4~6月期の営業利益は前年同期比99%減の16億円に落ち込んでいた。金融危機が深刻化した夏以降は、燃費の良い小型車の販売まで低迷し、9月の米国の新車販売台数は、前年同月比32.3%の大幅減になった。
販売不振に伴い、トヨタは8月から米国の一部大型車工場で生産ラインを休止し、売り上げがないまま従業員への給与支払いだけが生じる事態になっていた。
トヨタは販売てこ入れのため、10月から大半のトヨタブランド車の自動車ローンの金利をゼロにするキャンペーンに乗り出したが、販売環境は依然厳しく、09年3月期の通期予想も下方修正は必至となっている。【宮島寛】
毎日新聞 2008年10月24日 1時08分(最終更新 10月24日 1時38分)