金融危機はこれからの半月程度が最大の山場になるものとみられる。政府が打ち出すあらゆる対策も市場にはまったく反応がない。来月4日の米大統領選で新たなリーダーシップが登場し、米国の救済金融が本格的に市場に流れるときまで待たねばならいようだ。舞い飛ぶほこりが沈降しなければ解決方向を探すことができない。当面は国内金融市場は苦難の時期を耐えるしかないように見える。
最近の国際金融危機は開発途上国のドミノ倒産という新たな局面に差し掛かっている。アイスランド・ウクライナ・パキスタンのような周辺部の国から国の倒産という状況に追い込まれている。こうした現象は1929年の米国の大恐慌の際も同様だった。株価が急落し米国人が自分の母国に投資した資産を売却したため欧州にまで危機が広がった。世界経済に危機が迫れば最も弱いところから倒れてはじめるのだ。
幸い国際金融取引の基準であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が安定を取り戻している。先進国市場から資金難は多少緩和される兆しだ。しかし先進国が身に迫る危機への対処に気を取られ、途上国の危機は加重している。海外メディアもともすると韓国を危機に最も弱い国のひとつとして取り上げる。こうした危機の中心から抜け出るためにわれわれは3つの注文をしたい。
1つ目。最も警戒すべき対象は国の倒産だ。海外資本の引き上げが収まるときまで市場にむやみに介入することは危険なことだ。また政府は最悪の状況に備え、日本との金融外交を強化する必要があるとみる。現在日本は円資金の急速な還流による1人勝ちの円高に悩んでいる。輸出競争力に対する懸念で日経指数は急落している。したがって国内の流動性を押し出さねばならない日本と、外貨補充が切実な韓国が手を取り合う余地は開かれているとみる。
2つ目。状況が急迫するほど、過剰な防御は控えなければならない。いまわれわれは短期対外債務とともに急速に膨れ上がる住宅担保貸付の焦げ付きの可能性を疑われている。それでも政府は住宅担保貸付を増やし、アパート供給を拡大する政策をぶちまけている。海外投資家の目にはバブルでバブル崩壊を防ぐその場しのぎと誤解されかねない。なにより金融・不動産・実体経済をすべて守ろうという政府の全方位的対策が成功するか疑問だ。いまはある程度の被害と損失は甘受する勇気も必要だ。
最後に、過剰な恐怖心は鎮めるべきだとみる。もちろん韓国経済は少なくない弱点を持っている。だからといって長所まですっかり忘れてはいけない。いまのようなウォン安では経常収支が黒字に転じるのは時間の問題だ。国内の銀行も欧米のように国有化カードを切るほどの危機ではない。不動産バブルが急速に崩壊する兆しもまだない。なにより国内企業の財務体質はしっかりとしている。むしろ韓国は危機に遭っても比較的あとから危機になる国だと自信を回復する必要がある。経済危機のときは過剰な防御と恐怖心、すべて禁物だ。