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社説

妊婦の死亡 救急体制が貧弱すぎる(10月24日)

 脳内出血に陥った東京の妊婦が、医療機関への受け入れを七回も断られた末、やっと収容された病院で死亡した。

 日本の医療現場が抱えている大きな問題は、産科を中心にした医師不足と、それに伴う救急体制の不備だ。この二つが相まって起きた悲劇だ。

 医師の絶対数が圧倒的に多く、大規模病院が集中する東京で起きたことに、問題の深刻さが表れていると言えないか。

 体調不良を訴えた女性は、救急車でかかりつけ医に運ばれた。容体の重大さに医師は総合周産期母子医療センターに指定されている都立墨東病院に受け入れを要請した。

 しかし、墨東病院にはこの日、産科医が当直の一人しかいなく、受け入れは断られた。大学病院などにも当たったが、いずれも拒否されてしまった。

 女性は結局、墨東病院に運ばれ、無事出産できたが、本人が三日後に亡くなった。

 総合周産期母子医療センターは、妊婦や新生児に高度な救急医療を行う施設だ。

 それにもかかわらず、墨東病院では退職者が相次いで産科医不足に陥っていた。この夏から当直を一人体制にし、原則急患の受け入れをやめた。周産期医療の最後の「とりで」としてはあまりにも貧弱な体制だ。

 産科医不足は、道内ではさらに深刻だ。

 二〇〇六年末の道内の産科医は約三百六十人で、二年前より約一割も減った。札幌や旭川など六カ所にある総合周産期センターのうち、複数の医師による二十四時間体制をとっているのは三施設だけだ。

 札幌市産婦人科医会が救急体制の在り方をめぐって札幌市と対立、九月末で二次救急の輪番制をやめたことも記憶に新しい。これも、もとはと言えば産科医が減少し、輪番制をそのまま維持するには医師の負担が大きすぎると判断したためだ。

 産科医が全国的に減少しているのは、昼夜を問わない激務なうえ、医療過誤として訴えられるケースが他の診療科と比べて多いからだ。退職したり、分娩(ぶんべん)の扱いをやめたりする医師が増えた。産科を志望する医学生も少なくなったという。

 医師不足の解消は容易でない。厚生労働省は来年から大学医学部の定員を増やすが、医師の養成には十年かかる。産科をどれだけの学生が希望するかもわからない。

 まずは、診療報酬などで激務に見合った評価を行うことが必要でないか。いったん退職した医師が、フルタイム以外でも復職できる環境づくりも欠かせない。

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