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自動車:韓国にとっては危機と同時にチャンス

 世界の自動車需要が前年比20%以上下落した場合、韓国の自動車業界も減産などの対応が避けられなくなると専門家は心配している。しかし需要の減少幅が前年比10%台にとどまれば、韓国企業にとってはかえってチャンスになる可能性があるとの見方もある。景気の悪化で大型車の需要は急激に減少しているが、需要が堅調な中小型車は現代・起亜自やGM大宇などの韓国企業が欧米企業よりも安く生産できるからだ。中小型車に強みを持つ日本が円高で価格競争力を失っているのも、韓国企業にとっては競争力を高めるチャンスとなっている。

 LIG投資証券リサーチセンターのアン・スウン氏は「先進国での需要の落ち込みが10%以内なら何とか持ちこたえることができるが、20%以上落ち込んだ場合には韓国メーカーも減産などの対応を考えざるを得なくなる」と述べた。今年10-12月期の場合を見ると、8-10月期におけるストなどの影響で海外に納品できなかった小型車の需要が根強いことから、稼働率そのものには問題がない。しかし来年上半期以降は韓国メーカー全体が減産に入らざるを得ない可能性もあるという。

 しかし韓国自動車産業研究所のキム・チョルムク研究員は「世界全体の自動車需要が急激に落ち込み、実体経済が悪化するのは避けられないようだが、企業によって衝撃の度合いは大きく異なる。競争力のある企業にとっては大きなチャンスとなる可能性もある」と語る。今回の危機で競争力が劣る企業が淘汰(とうた)されれば、生き残る企業は逆に市場でのシェアを高めることができるということだ。

 実際に米国の過去のケースを振り返ってみると、1980年代後半には米国の貯蓄貸付組合が数多く破産し、91年には湾岸戦争でガソリン価格も大きく高騰した。その結果92年には米国での販売台数が1286万台にまで急激に減少した。年間1600万から1700万台に達する米国自動車市場の規模からすれば、非常に大きな需要の減少期を迎えていたのだ。当時競争力が低いとされたフランスのルノーやユーゴのユーゴ自動車などは市場から淘汰されたが、日本企業は90年を前後した時期にトヨタがレクサス、ホンダがアキュラ、日産がインフィニティなどの高級ブランドを米国に投入し、日本車のブランドイメージを大きく高めることに成功した。その結果米国市場でのシェアも飛躍的に向上した。

 ただ韓国メーカーは外部からの危機だけでなく労組があまりにも強いことから、生産性は今一つ伸び悩んでいる。この点は韓国メーカーにとって致命的な弱点だ。輸出が好調な小型車の生産を大きく増やすべき時期ではあるが、構造的にそれが不可能となっているのだ。現代・起亜自では組み立てラインの人員を小型車ラインに移す弾力的生産体制の構築に労組が反対しており、これさえもまともに行えない状況にある。

 現代・起亜自関係者は「危機をチャンスとして活用できるよう労組が全面的に協力してくれれば、シェアも大きく高めることができるはずだ」と述べた。

崔源錫(チェ・ウォンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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