Print this Post Article Lists Back

【社説】「理由なき熱病」患う韓国経済を救え(下)

 外国為替市場は外国人による「韓国売り」にまったく無防備だ。今年に入ってウォンはドルに対してほぼ半値となった。ユーロやアジア諸国の通貨はほとんどがドルに対して下げているが、下げ幅は5%から20%ほどだ。円だけは逆にドルに対して10%以上高くなっている。外国人が韓国株を大量に売却したというだけで、ウォン安がここまで進む理由は説明できないということだ。

 外国為替市場が乱高下し、国際金融市場で韓国のリスクがほかのアジア諸国よりも高いと考えられている要因としては、韓国の銀行の財務状況が悪化しているという点も挙げられる。預金に比べて融資があまりにも多く、外貨を借り入れる比率も非常に高いということだ。海外のマスコミがこれらの問題を指摘したことで、国際金融市場では韓国経済に対する不安が一気に高まった。

 しかしこの点には誇張も含まれている。さらに銀行の外貨借り入れにたいする政府保証でも不安要因は解消されたとみるべきだろう。欧米諸国とは異なり、韓国では今のところ取り付け騒ぎが起こる心配もない。また欧米の銀行はサブプライム関連証券の不良債権化により多額の損失を出し、自己資本も大きく減少しているが、一方の韓国の銀行は今も利益を出し続けている。そのため政府が公的資金を投入する必要もない。

 短期外債が多いという指摘も同様だ。一部では短期外債の規模が1750億ドル(約17兆1600億円)に達するとの主張もあるが、実際に韓国の銀行が来年6月末までに返済しなければならない短期外債は800億ドル(約7兆8400億円)ほどで、2400億ドル(約23兆5000億円)の外貨準備でも十分に対応できる額だ。信用評価機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード&プアーズ(S&P)は最近、「韓国政府の財政状況は(先進国に比べて)健全で、金融危機を管理できる能力もある」として、韓国の信用等級を「安定的」に維持すると発表した。

 要するに韓国経済と韓国の金融市場は原因の分からない熱病を患っていることになり、またその原因は心理的な要因ということだ。そうであれば政府は政策による対応を行う時期を遅らせないようにすべきだ。経済政策におけるリーダーシップに問題があるのなら、それを修正するのもためらってはならない。国際金融市場や海外のマスコミが韓国経済に対して誤った認識を持っているならば、これも積極的に修正させるべきだ。市場の不安を沈めるための国際的な協力についても、口だけでなく実際に動き出すよう外交力を発揮する必要がある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る