MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース: 事件 犯罪・疑惑事故・災害裁判写真RSS feed

【主張】妊婦受け入れ拒否 救急システムを改善せよ

2008.10.24 03:50
このニュースのトピックス主張

 出産間近に脳内出血を起こした東京都内の女性が次々と病院に受け入れを断られた。女性は約1時間20分後に最初に断られた都立墨東病院に収容されて緊急手術を受けたが、亡くなった。

 2年前にも奈良県で脳内出血の妊婦が19病院に受け入れを拒否されて死亡している。同じ奈良県ではたらい回しから救急車内で死産した。今回は医療体制が日本で一番整っている東京で起きたことに衝撃を覚える。

 墨東病院は妊婦や新生児の緊急治療に対応できる「総合周産期母子医療センター」と24時間重篤患者を治療できる「ER」(救急治療室)の指定を受けている。断ったほかの病院も高度な設備や技術を持つところばかりだ。

 これでは救急搬送システムが十分に機能していないからとしか思えない。東京都や厚生労働省、それに病院関係者は、今回の事例を検証する過程でシステムのどこに欠陥や問題点があるのかを詳細に調査してシステムを見直し、改善すべきである。

 まず墨東病院と、受け入れを依頼した女性のかかりつけの産婦人科医院との間に食い違いがある。当直医が1人しかいないことを理由に断った墨東病院側は「初めは脳内出血の疑いがあるとは認識していなかった。分かっていればすぐに受け入れた」とする。

 これに対し、かかりつけ医は「吐き気や下痢もあったが、尋常じゃない頭の痛みを訴え、それを墨東病院にも伝えた」と脳内出血を疑った。病状が正確に伝わっていれば女性の命は助かったかもしれない。明らかに病院間のコミュニケーションに問題があった。

 次に受け入れ病院を即時にコンピューターで検索できる「周産期医療情報ネットワーク」の問題である。病院が空き病床情報の更新を怠る傾向が、以前から指摘されていた。今回もネットワーク上の情報と実際の受け入れ状況に食い違いがみられた。

 病院内部の連絡体制についても、墨東病院の当直医は最初の時点で一般救急のERには連絡していなかったという。

 大阪府では奈良県のケースを教訓に妊婦の受け入れ先の病院を調整するコーディネーターを置いて効果を上げている。救急搬送システムを機能させるにはこうした支えが必要である。背景には医師不足の問題もあるが、まずは即効性のある対策が求められる。

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。