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(5)安全性分析

3、流動比率から安全性を確実に読みとれるか?

 @流動比率の落とし穴とは

流動比率が会社の安全性をみるための代表選手であると説明しましたが、実は「落とし穴」があるのです。それは、「流動資産の中身」です。 

 A流動資産の中身に気を付けろとは

    流動資産の中身が「実はお金にならない、またはなりにくい資産」だと流動比率をせっかく出したとしても、かえって判断をミスリードするだけです。
 流動比率は流動資産がお金に換わることを前提としているので、お金にならないのであれば、負債の返済のための原資とならないからです。 

イ、

現金・預金ですがこれは現金そのものと、1年以内に満期がくる銀行預金などが含まれています。

ロ、

受取手形ですが、手形には期間があり、1ヵ月ものもあれば、半年以上先にならないとお金にならないものもあります。
またそれ以前に、手形を発行した会社がつぶれた場合はお金が返ってきません。
そのリスクは常にあるということです。 

ハ、

売掛金も同様に貸倒れのリスクがあります。
また回収が長期間滞っているものが含まれていることもあります。 

ニ、

受取手形や売掛金が不良債権だと、支払能力があるとはいえません。
決算書からだけでは、どこに対する売上債権かわからないことが多いので、場合によっては慎重な調査が必要な場合もあります。 

ホ、

棚卸資産の場合、まず売れる見込みの無い商品が含まれているリスクがあります。
それに売れたとしても、その会社の通常の営業サイクルが長く、出荷してから代金が回収されるまで、半年以上かかるケースもありますので注意が必要です。

ヘ、

短期貸付金については、売上債権同様、貸倒れのリスクがあります。 

ト、

有価証券は時価が低下して、帳簿価格が回収できないケースがあります。 
逆に含み益を多く持っていて、支払能力という点ではプラスになる場合もあります。
さらに、そもそも売却することが容易でない、またはできない種類の有価証券である場合もありますので注意が必要です。

チ、

その他の流動資産については、前払費用など、そもそも最初から現金には換わらないものが含まれているケースが多いです。

流動資産の中身をチェックして、本当にすぐ現金化できるものはどれくらいあるのかをつかむことが大切なのです。 

 

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