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(3)収益性分析

3、自己資本利益率を分析する

 @自己資本利益率とは

 自己資本(純資産)というのは、株主の持分です。
 資本金ももちろん株主の持分ですが、それ以外に、過去の儲けの蓄積である剰余金も株主の持分です。

 要は貸借対照表のうえで他人資本である負債以外の部分が自己資本であり、「純資産の部」と表示されています。
 株主の持分である自己資本に対して比率をとるべき利益とは、何でしょうか?

 通常、自己資本利益率を計算する場合は、当期利益を使います。
 当期利益というのは、経常利益から特別損益を加減して税引前利益を求め、さらにそこから法人税及び住民税を差し引いた、税引後利益のことです。 

 総資本利益率は経常利益を用いましたが、自己資本利益率は当期利益を用います。なぜでしょう? 

 ポイントは比率の持つ意味にあります。
 総資本利益率は、会社として投下した全ての資本から、会社が通常の活動でどれだけの利益を稼げるか、見るものでした。よって、そこでの利益には経常利益が使われました。 

 自己資本利益率は、株主持分に対して、どれだけの見返りがあるかを見るものです。
 株主にとっては、税引後の利益こそ、株主持分増加に該当する部分です。
 ですから、自己資本利益率は当期利益を用いて算定する必要があるのです。 

 自己資本利益率は、英語で「Return On Equity」略して「ROE」といいます。
 企業や金融市場の国際化の中で、日本企業のROEの低さが問題になっています。
 米国などは、10数%多くは2ケタのROEがあるのに対して、日本企業の場合には、上場企業平均で3%程度です。 
 

 A資本コストの話とは 

 さて、会社が資金を必要としたとき借り入れをして他人資本を高めればよいのでしょうか?
 他人資本は返済しなければなりませんので金利負担に絶える力や、支払能力を確保する必要があり、借り入れに頼ることがいいとはいえません。

 また逆に、自己資本には金利は発生しませんが株主への配当がいわば、自己資本のコストであるといえます。
 なお、自己資本の配当や他人資本の支払い金利など、資金調達に伴うコストを「資本コスト」といいます。 

 

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