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(1)決算書の作成プロセス

4、正しい期間損益計算のために

 @期間損益計算とは

 会社というのは半永久的に営業活動を行っています。
 そもそも会計期間というものを設けて決算を行うということの意味はどこにあるのでしょうか?

 一定の期間を人為的に区切ってやらないと、会社の損益がいくらになったのかは表現できませんので、日本では通常1年として損益計算書を作成します。
 (貸借対照表も1年毎に作成)

 会計期間を1年として定めることは、将来は変わってくるかもしれません。
 日本でも上場企業は半期報告書(6ヵ月)や3ヵ月単位の四半期報告書を公表しています。
 

 A費用・収益の繰延と見越しとは

 会社の事務所の家賃や、いろいろな保険料、銀行に支払う支払利息、預金の受取利息などは普通、ある一定期間分の金額をまとめて支払ったり、受取ったりします。
 こういうものについては、当会期期間に属する部分が当期の費用または収益として計上されるように決算整理の時に修正します。 

《一例を挙げてみましょう。》

(例1)

 今、向う6ヵ月分の保険料60万円を10月1日に支払いました。
 決算は12月末とします。
 ということは、12月末までが当期なので、10、11、12月分は当期に、1、2、3月分については、翌期に帰属します。
 この場合、1、2、3月分については、保険料を前払いしているので、30万円は当期の費用ではありません。

 しかし保険料を10月1日に支払った時に、通常60万円全額を費用として計上しています。
 だからそのうち30万円を取り消してやる必要があります。
 一方、1、2、3月分の30万円は保険というサービスを保険会社から受ける権利であり、資産となります。

 以上から費用となる保険料は、60―30=30万円となり、損益計算書に計上されます。
 また次期の費用にあたる金額を「前払費用」という勘定科目で貸借対照表に計上することになります。
 なお、このように当期に支払い済みの翌期分の費用を、翌期扱いにすることを、「費用の繰延」といいます。 

(例2)

 12月に清掃業者に事務所の大掃除をしてもらいましたが、12月が決算期としますと掃除代金はまだ支払っていませんので、この場合このままにしておくと、当期の費用として計上されないままになってしまいます。
 こういうケースでは、当期の費用として掃除代金を損益計算書に計上する一方、業者への支払い義務が期末現在残っていることから、貸借対照表に代金分の未払いを計上します。
 これを「未払費用」といいます。未払を計上することを、「費用の見越」といいます。 
 

(例3)

 受取利息など、将来の期間の分をもらっている場合は、損益計算上、翌期の分を受取利息から控除する一方 、貸借対照表に「前受収益」という負債(まだもらえないお金を預っているようなもの)を計上します。
 これは「収益の繰延」といいます。

 また、受取利息を決算時にまだ受取っていないで、翌期にまとめて受取るようなケースでは、当期分を貸借対照表に「未収収益」という科目で計上するとともに、損益計算書に当期分の受取利息を計上します。
 これは「収益の見越」計上です。

 これらはいずれも、実際の現金の支払いや受取りに関わりなく、当期に帰属する費用・収益を当期分として計上しようという考え方に基づいています。
 この考え方を「発生主義」といいます。
 これは、正確な期間損益計算をしようという考え方の表れです。 

 

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