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(1)決算書の作成プロセス

3、連鎖倒産と債権評価

 @得意先倒産は「青天の霹靂?」とは

 会社経営にはリスクがつきものですが「ハイリスク・ハイリターン」という言葉があるように会社というものは本来、積極的にリスクをとって、利益を追求するでしょう。
 とはいえ、それまでまじめにがんばってきた会社が、得意先の倒産で連鎖倒産するのはやり切れません。
 

 A債権管理といわれるものとは

 「債権管理」というものは売掛金など、会社が保有する債権について、きちんと期日に回収できるよう日常的に管理することです。
 多くの会社では債権管理の一環として、得意先の信用情報を興信所や得意先の決算書を入手して経営分析をしています。
 この分析に基づいて、得意先を信用度でグループ分けしたり、会社として許容できる債権残高を相手先別に設定する場合もあります。
 また売掛金の回収が滞っている相手先がないか、売掛金の「年齢調べリスト」といわれる、未回収期間の一覧表を作ってモニターしたりします。
 さらに土地などの担保を取得して、万が一の場合に備えたりします。要は得意先との力関係などを考慮して、バランスを取りながら、会社としてリスクに備えるのです。 
 

 B債権評価とは

   「債権評価」とは、決算にあたり、会社が計上している債権のうち、回収できないと思われる金額を費用に落とすことです。
 そのやり方としては、「貸倒引当金」という勘定を貸借対照表に計上します。

 上の意味は、会社の売掛金は100万円あるが、そのうち1万円は回収が危いのであらかじめ売掛金から減額したということです。
 つまり、会社は減額分を費用として負担するということです。
 このように貸倒引当金の計上に伴って発生する費用を「貸倒引当金繰入額」といい、損益計算書に計上されます。 

 C債権評価の方法とは

   将来回収が危ぶまれる債権の金額がいくらぐらいになるのか、一般的には次の考え方で貸倒引当金を計上しています。 

イ、

個別に倒産が危ぶまれる相手先に対しては、個別に貸倒予想額を見積り、貸倒引当金を計上する。

ロ、

上記イ以外の債権については、税法に定めている繰入率を用いて貸倒引当金を計上する。

 D貸倒れの個別見積りとは

 イ、の個別の見積りについてですが、すでに手形の不渡りを出したりした相手先については、税務上も損金(税務上費用となるもの)として扱うことができます。
 多くの会社ではこれについて「債権償却特別勘定」という勘定を設定して、損金処理します。
 一方、まだ手形の不渡りまではだしていないが、経営状態が悪く、いつ貸倒れてもおかしくないような相手先については、保守的な立場に立って、貸倒引当金を計上します。
 この場合は税法上は損金として認められないため、各企業が自主的に計上するわけです。この事を「有税で処理する」といいます。

 健全な会社経営の観点から、回収が危ぶまれる債権については、自主的に貸倒引当金を計上すべきです。 

 E個別見積り以外についてとは

 個別見積り以外の債権貸倒れについては、実務上は税法上の繰入限度額まで貸倒引当金を計上します。

 税法には、業種毎に貸倒引当金の繰入率が定められていますので、繰入限度額を損金として税法上認めるというものです。

 したがって、税法上認められる範囲を超えて、会社が自主的に回収が危ぶまれる金額を貸倒引当金として処理すること自体は構いませんが、税金の計算上は損金として認めませんということです。 


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