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(2)損益計算書を読む
4、段階利益の読み方をマスターしよう1
 @売上総利益の読み方とは

 売上総利益は、ひとつひとつの取引で稼ぎ出した粗利益の総合計です。 
 そのため、売上総利益に異常が検出された場合には、個々の取引にそって、販売価格と仕入原価とのバランスがどのように変化したかということを考えてみる必要があります。

 売上総利益は、売上高−売上原価として計算されるわけですから販売数量についての問題はそれほど影響しません。
 よって、単価レベルの問題として絞り込んで構わないのです。
 販売価格の変化は、ほとんどの場合が、マーケットのメカニズムによってもたらされます。

 同業者の新規参入により生じる供給過剰や競争の激化、技術革新による新製品の登場、為替の変動などが主な原因です。

 一方、売上原価は、ちょっと複雑です。
 売上と同じようにマーケットの動向から仕入価格が影響を受けますが、そのほかに仕入物流コストや在庫ロス(在庫不良や万引きなど)といったコストが売上原価に集計されますので、総合的な分析が必要となります。 
 

 A営業利益の読み方とは

 営業利益は、売上総利益−販管費として計算されますので営業利益に異常が検出された場合には、販管費をじっくり検討することとなります。

 ところで、販管費の内訳としてはさまざまなものが含まれますが、もっとわかりやすくするためには、販管費をある程度グループ化した方がよいでしょう。

 企業活動は、売上総利益として稼ぎ出した粗利益を、会社運営のさまざまな費用へと分配していくわけですからどのような経費にどの程度のお金をかけているかという構造上の特徴を明らかにしておきたいのです。

 次の図をよくみると人件費の増大が営業利益圧迫の最大の原因であることがわかります。
 営業マンを増員して売上を増やしたが増員した営業マンの給料を十分稼ぐまでには至らなかった、そんなストーリーが読めてきます。

 それと、もう一つ重要なのは販管費は売上原価と違って、売上が減れば自動的に減るという比例関係が必ずしも成立しないことです。
 例えば、本社ビルの家賃を、売上の減少に比例して値切るわけにはいかないからです。

 このため、個別には経費の使い方に大きな変動がなくても、必要水準の売上総利益を稼ぎきれないという場合には、営業利益を悪化させてしまうことになります。

 販管費をみる場合には、会社維持にかかる最低のコストはどれくらいかを読み取ることも必要となってきます。 

 



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