まず重要なのは、流動資産の中には、どのような基準で流動・固定区分を行ったとしても、当然のごとく流動資産とされるものがあります。 それは現金です。 そもそも「流動性」という考え方は、現金をベースとしたものですから、現金が流動資産であることに間違いはありません。
重要なことは、「どこまでの範囲を決済手段として見込めるか」ということです。
企業活動は、つまるところお金の出し入れですから、お金の出し入れを円滑に行うためには、決済手段として使えるレベルの流動性が充分に確保されていることがポイントとなるのです。 流動性・換金性について、順番にチェックしてみましょう。
まず、現金。 次に預金。 当座預金や普通預金には問題がありませんが、 定期預金となると若干問題があります。 しかし、最近では、定期預金の部分解約や総合口座の利用によって昔ほど不自由なものとなっていませんので、これも決済手段とみなしてよいでしょう。
また、たいして手間もコストもかけずに換金できる株券や国債などの有価証券や受取手形・売掛金も、通常のサイクルであれば毎月の回収が見込めます。 受取手形については、銀行などで割引によって預金に変えたり裏書きという方法で負債の支払いに充てることも可能ですので、決済手段としても構わないでしょう。
本当の意味で流動資産として支払決済に利用できそうな資産は、せいぜいここまでです。 これら、現金、預金、有価証券、受取手形、売掛金を総称して「当座資産」と呼びます。
当座資産以外の資産を決済資金と考えるには無理があります。
例えば、商品などの棚卸資産は、販売されて売掛金となり、その後の回収をまって現金ですから、現金化はワンテンポ遅れますし、いつ売れるかわからない商品を決済資金と考えることはできません。
棚卸資産は、品揃えの意味からも最低必要量は確保しておかなければならず、長期的に持ち続ける必要がおりますので、むしろ固定的な資産と考えてもよいくらいです。
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