貸借対照表の右側は「資本の調達源泉」を示しています。 資金バランスを読み取るには、左側の資金だけでなく、右側も二分割するとわかりやすいです。
ところで、貸借対照表の右側もあらかじめ大きく2つに区切られています。 すなわち、負債(他人資本)と純資産(自己資本)という区分です。
これは他人資本と自己資本との区切りであり、要するに「返さなければならないか、返さなくてもよいか」という尺度に基づく区分でした。
ここで改めて流動資産と固定資産の性格をまとめてみますと、流動資産は「出入りの激しい運転資金の運用」、固定資産は「いつ帰ってくるかあてにならない固定資金の運用」ということでした。
ここで問題となるのは、固定資金をどのように調達するかということです。 なにしろ、固定資産はいつ現金として帰ってくるかあてにならないわけですから、来月返済しなければならないような短期の資金調達でまかなうことは、あまりにも危険です。
ここに非常に便利な資金があります。 自己資本です。 返さなくてもいいと初めからわかっていますので、安心です。 したがって「固定資金は自己資本でまかなえ」ということができます。
しかしながら自己資本のみで巨額の設備を購入するということは、ちょっと無理があります。 やはり、借金に頼らざるをえないということが現実でしょう。
「固定資金は自己資本でまかなえ」とはいうものの「自己資本でまかないきれない」というのが実状なのです。
たとえば、住宅ローンでマンションを購入するとき、きっと「毎月の返済が給料の範囲で無理のない程度に長期だが、なるべく早くローンを終わらせたい」と考えるでしょう。 そうした考えは、そっくりそのまま会社の固定資金の調達にもあてはまります。 つまり「毎月の返済が、運転資金を圧迫しない程度に長期だが、金利負担もバカにならないので可能な限り早めの返済をしたい」となるわけです。
貸借対照表の右側を分割する場合には、負債(他人資本)と純資産(自己資本)という単純な分け方より流動負債と固定負債+純資産という分け方が現実的だといえます。
|