JUSNET Communications  produce
(1)貸借対照表を読む
7、貸借対照表には落とし穴がいっぱい
 @「ど、どちら様で……」とは

 ここで重大な話があります。それは、「うっかりすると貸借対照表に騙される」ということです。

 例をあげて説明しましょう。
 (あなたがすごい美人と意気投合し、酔いも手伝って2人は近くのホテルに向かいました。
  彼女がシャワーを浴びている間、あなたはこれから始まる夢のような出来事に想いを馳せます。
  彼女がシャワーを終えて、出てきました。
  振り向いた彼女にあなたは思わず、こう叫びました。
    「ど、どちら様で……」)

 見てくれと実質のギャップとは大きい事をここではいいたいのです。
 つまり、勘定科目の性質から想像される資産内容と、実際の資産価値がかなりかけ離れているケースがあるという事です。 
 

 A落とし穴の仕掛け場所とは 

 ここでは「判断の困難なケース」について勘定科目の分類ごとに次のようにまとめてみましょう。

※不良債権(受取手形や売掛金)
 
これらは、通常は正常営業循環のサイクルの中で、次々に回収されていきます。
 しかしながら、相手先の事情により、長期的に回収が滞っている債権がしばしば含まれています。
 これらの不良債権を含んだまま、流動資産や当座資産として考えていると、思ったような資金繰りにならず、とんだ災難を招く事があります。

※滞留在庫(商品や製品)
 このようなものの中には、ときとして売れ残った流行遅れ品が含まれています。
 流行遅れ、陳腐化などのほか、ただ単に売れないものまでさまざまです。
 下手をすると何十年も倉庫に眠っている事になります。
 これらの滞留在庫を含んだまま資金バランスをみると、判断が狂います。

※含み損(有価証券)
 換金しようとした場合に、貸借対照表計上額がそっくりそのまま現金化されると思ったら大間違いです。
 貸借対照表の計上額は「取得原価主義」といって買ったときの値段となっています。
 ところが、皆さんもご承知のとおり、いざ換金してみると、半分にしかならないというケースも出てきます。

※担保提供(有価証券や定期預金)
 借入金の担保として提供されていることがあります。
 特に長期的な借入金の担保とされているような場合ですと、これらの資産本来の流動性は、完全に失われます。
 まさに「ど、どちら様で……」という状況となります。

 B落とし穴を避けろとは

 貸借対照表には、下記のようなさまざまな落とし穴が仕掛けられています。
 このため貸借対照表の利用者が、これらの落とし穴に落っこちないように、救済のためのルールが設けられています。 

 

前に見ていたページへ戻 る
次コーナーへ
前コーナーへ
トップページへ