アジア通貨動向(23日)=総じて下落、世界的景気悪化への懸念で
[シンガポール 23日 ロイター] 23日のアジア通貨市場では、インドネシアルピアの対米ドル相場がほぼ3年ぶり安値を付けたほか、その他の通貨も総じて数年ぶりの安値水準に下落した。世界的な景気悪化への懸念が強まる中、リスク資産の売却傾向が続いた。
ハンガリーが前日、自国通貨防衛のため一挙に3%の利上げに踏み切ったことを受けてアジア市場でリスク回避の流れが鮮明となった。韓国、インドネシア、フィリピンの株式市場は4─7%下落している。
ルピアの対ドル相場<IDR=>は9950ルピアに下げ、ほぼ3年ぶりの安値を付けた。
フィリピンペソ<PHP=>は49ペソと、2007年初め以来の安値に軟化。マレーシアリンギは約2年ぶり安値の3.5771リンギに下落した。
潤沢な外貨準備や1けた台高めの成長率見通しといったアジアの良好なファンダメンタルズにもかかわらず、新興国市場の幅広い見切売りがアジア市場にも深く根を下ろした格好だ。
インド、インドネシア、韓国、フィリピン各国の中央銀行は、自国通貨の下落を緩和するためたびたび市場に介入しており、23日もそのうち数カ国の中銀が介入したとみられている。
アナリストの間では、こうした介入の目的は自国通貨の下落ペースを緩やかなものにすることであり、アジア諸国の主要貿易相手国でリセッション(景気後退)入りのリスクが高まっている今、各国の通貨当局は自国通貨の対ドルでの下落をある程度容認しているとの見方が強い。
ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、パトリック・ベネット氏は「取引量が薄くボラティリティーが高い市場に流動性を供給することは有効な政策手段だ」とした上で「通貨当局がある特定の水準に為替相場を保とうとしたり、明らかにファンダメンタルズに逆行する動きに介入した時は警戒する必要がある」と述べた。
*0526GMT(日本時間午後2時26分)時点のアジア各国通貨の対米ドル相場は次の通り。
シンガポールドル 1.5006
台湾ドル 33.367
韓国ウォン 1407.90
タイバーツ 34.49
フィリピンペソ 48.96
インドネシアルピア 9950.00
インドルピー 49.74
マレーシアリンギ 3.5670
人民元 6.8369
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