大阪市北区で堺市の会社員、鈴木源太郎さん(30)がはねられ、引きずられて死亡したひき逃げ事件で、ひき逃げ車両とみられる黒い車が走り出した直後に人をはねる様子が、別の車の運転手に目撃されていたことが分かった。鈴木さんは時速20~30キロの低速ではねられたとみられている。大阪府警曽根崎署捜査本部は、信号待ちしていたひき逃げ車両が出発する際に鈴木さんをはねた可能性があるとみて調べる。
目撃した男性(33)の話では、男性は事件があった21日午前4時15分ごろ、国道176号の現場交差点で、乗用車に乗って信号待ちしていた。信号が青になって出発した際、交差点を人が通り、数台前にいた黒い車がはねたという。
事件のあった時間帯、現場付近は、トラックやタクシーなどが速度を上げて通ることが多い。しかし、現場交差点の手前約100メートルの同署1階の防犯ビデオに映った黒い車は高速走行していなかった。また、現場には車の塗膜片や部品片などがなく、「車は低速でぶつかった」との目撃証言もあった。こうした状況から、捜査本部は、ひき逃げ車両が事件直前には停止していた可能性があるとみている。
一方、捜査本部に「ホンダのオデッセイのような黒い車がはねるのを見た」との目撃情報があったことも分かった。
さらに、発生現場から遺体遺棄現場までの約3キロの間、すべての交差点の手前に、車の停止を示す多量の血痕が残されていないことも新たに判明。この間、信号は約20カ所あり、数カ所は赤信号だったとみられる。捜査本部は、車が停止することなく、何度も信号無視を繰り返しながら走り抜けたとみて、目撃情報の洗い出しを進める。
毎日新聞 2008年10月23日 17時07分(最終更新 10月23日 20時02分)