佐賀県立病院好生館(佐賀市)で2001年、良性腫瘍(しゅよう)を悪性と診断され右腎臓を手術で全摘出された女性が、県に約2300万円の損害賠償を求めた訴訟で、佐賀地裁(神山隆一裁判長)が「病院の術前検査が不十分だった」などと県の過失を認定し、県に和解金1000万円を支払う内容の和解勧告をしていたことが22日、分かった。
訴状によると女性は01年5月、交通事故で同病院に搬送された際、腹部のコンピューター断層撮影(CT)検査で「右腎細胞がん」と診断された。病院は「腫瘍は悪性」と告げ、7月に手術で右腎臓を摘出した。しかし、術後の病理検査で腫瘍は良性と判明したという。女性側は「病院の過失で片方の腎臓を失った精神的ショックは大きい」と、慰謝料や逸失利益の賠償を求めていた。
和解勧告は「より精密なCT検査をしていれば良性の可能性が高いと判断でき、患者は全摘手術に同意しなかっただろう」と、県の賠償責任を認定している。女性側は受け入れる方針だが、県は「検討中」としている。
=2008/10/23付 西日本新聞朝刊=