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仰天!野村系ジョインベスト証券、顧客に損失押しつけ

約定後に「取引無効」、金融庁が実態把握へ

 野村ホールディングス系のインターネット証券、ジョインベスト証券(東京)で起きた顧客トラブルが、深刻さを増している。売買が成立して「約定」となった取引を、同証券が一方的に無効にし、顧客の取引口座にいったんは入金した利益を引き揚げていたことが23日、分かった。証券関係者は「証券会社としてあり得ない行為だ」と驚いている。さすがの金融庁も実態把握に乗り出した。

 ジョインベスト証券では株式相場がみぞうの急騰をみせた今月14日、値幅制限いっぱいのストップ高となった銘柄(225銘柄)の処理が大幅に遅れた。これらの銘柄に買い注文を出していた顧客には、窮余の策として取引画面に「失効」(売買成立せず)の表示を出した。

 ストップ高となった銘柄の処理を終えて、買い注文が成立した顧客に「約定」(売買成立)の通知が送られてきたのは、翌15日夜になってからだった。

 「『失効』という表示を使ったことが、そもそも間違い。いくらジョインベスト証券のサイト上などで、『失効』は処理中という意味だと説明しても、あまりに紛らわしすぎる」(別のネット証券幹部)

 株式相場が大荒れとなるなか、自分の注文が成立したかどうかも分からず悶々として過ごした顧客の多くは、16日の暴落場面で含み損を抱え込んでしまう事態に。同証券には、20日までに約650件の苦情や問い合わせが寄せられた。

 その顧客トラブルがここにきて、証券会社の根幹にかかわるような事態に発展している。

 「深刻なトラブル」に巻き込まれたのは都内在住の男性顧客。この顧客は株券を借りてきて取引する「カラ売り」を行っていて、トラブルが起きた14日、借りた株券と同じ銘柄を市場から買い戻してカラ売りを終了させようとした。

 ところが、買い注文を入れたのがストップ高となった銘柄だったため、この顧客の取引画面には「失効」が表示された。どうしてもカラ売りを手じまいにしたかった顧客は翌15日の日中に、試しに買い戻しの買い注文を入れた。すると、取引画面に注文が成立したことを示す「約定」が表示され、取引口座にカラ売りの利益5万円が入金された。

 これでカラ売りに絡む取引が完了したと思ったら、15日午後になって、ジョインベスト証券から「15日の約定は無効で、14日の比例配分が割り当てられる」との通知がきて、その際、口座に入金された利益5万円も引き揚げられてしまったという。

 約定した取引を一方的に無効にされ、利益も引き揚げられてしまうのは、普通ではあり得ない行為。怒り心頭の顧客が、同証券の顧客センターに苦情の電話を入れると、「(15日に約定したのは)私たちのミスでした」と釈明。顧客が、同証券側のミスなら利益を返してほしいと主張すると、「利益返還には応じられない」と言ってきたという。

 この顧客は夕刊フジの取材に対し、「自分たちのミスを認めながら、ミスによる損失(利益喪失)は顧客に押しつけてくる。これはどう考えてもおかしい」と怒りをあらわにした。

【証券会社としてあり得ぬ行為】

 証券界は一連のトラブルをどうみるか。ある証券会社の関係者は「一度約定したものを証券会社の都合で勝手に無効とし、確定した利益を勝手に引き揚げる行為は、証券会社としてあり得ない行為」と語る。

 当のジョインベスト証券側は夕刊フジの取材に対して、「14日に約定していたと知らないままで15日に行った取引については、誤認勧誘による『事故』として処理している」(企画部)と説明。金融庁にもこれを報告したという。

 証券会社は顧客への損失補填は禁じられているが、事故で顧客に損失を与えた場合は、投資家保護の観点から例外的に原状回復(成立した売買の取り消し)などが認められている。

 ジョインベスト証券はトラブルへの対応について、「(顧客によって)それぞれ取引状況が異なり、ケース・バイ・ケース」(同)とするだけで、具体的なことは明かさなかった。

 監督官庁の金融庁は投資家保護を重要テーマの1つに掲げている。保険金未払いが多発した生損保業界に厳しい姿勢で臨んだのも、そのためだ。

 今回のトラブルに絡んで金融庁を直撃すると、「どういうことがあり、どういう対応をしたのかを含めて事実確認中」(証券課)との答えが返ってきた。

 金融庁には、投資家保護の観点からしっかりと対応してほしいものだ。

ZAKZAK 2008/10/23

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