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自爆テロ:防止へ弱者救済が急務 カブール大准教授

 【ニューデリー栗田慎一】カブール大学医学部のルサフ・ラドガリ准教授(32)の調査は、戦争被害で手足などを失い生活に困窮する障害者が、自爆犯に仕立て上げられているとの衝撃的な事実を明らかにした。30年以上続く戦乱で、国土の至る所に未処理の地雷や不発弾が残るアフガニスタンの現状が、国際テロ組織アルカイダや武装勢力タリバンによる自爆犯の「リクルート」を容易にしている。一方で調査結果は、障害者など社会的弱者の救済が自爆テロ防止に役立つことも示唆している。

 タリバン幹部の一人は毎日新聞の取材に、「自爆は敵に確実な打撃と恐怖を与えることができる」と語る。アフガンの影響を受け、隣国のパキスタンでも急増。またロンドン(05年7月)、インドネシア・バリ島(02年10月と05年10月)など、世界中に広がりつつある。

 イラクでは2月、知的障害者とみられる女性2人の体に巻かれた爆弾が遠隔操作で爆破され、少なくとも91人が死亡する事件があった。一方、アフガンでも5月、南部カンダハル州で警察の車列前で男が自爆。その後の警察の調べで、男は視覚障害者で、体に巻き付けられた爆弾が遠隔操作で爆破された可能性が強いことがわかった。

 男は家族からも見捨てられ、路上で物ごいをする生活をしていた。何も知らされないまま、何者かに「自爆犯」にされた可能性が強い。社会的弱者を「自爆犯」に仕立てる手口は、ますます過激化、悪質化している。

 治安が極端に悪化するなかで、アフガン政府軍や警察は自爆からの防御で手いっぱいで、自爆犯の背景を探る余裕はない。ラドガリ准教授は「自爆犯の多くが、宗教や政治的な動機ではないことがわかった。祖国から自爆という悲劇をなくすためには、客観的に背景と原因を探る必要がある。調査が、平和を達成するための一助になると信じる」と語った。

毎日新聞 2008年10月20日 2時30分(最終更新 10月20日 10時09分)

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