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米ニューヨーク州バード大学院教授のイアン・ブルマ氏(56)は外交専門誌「フォーリン・ポリッシュ」が選んだ「08年世界100大知性」だ。ブルマ氏はニューヨーク タイムズ、フィナンシャルタイムズなど有力メディアに幅広いテーマのコラムを寄稿している。東アジアに対するブルマ氏の見解を知るため、電話でインタビューを行った。
自身の著書「アムステルダム殺人事件」(06年)ではオランダ社会で‘寛容’が持つ意味を取り上げた。すべての葛藤は寛容の不在からくるという考えから、まず寛容の定義を問うた。ブルマ氏は「法を犯さない限り、人は望み通り話したり考えたりする行動を認める」と提示した。
--寛容と民主主義はどういう関係か。
「寛容がない民主主義はない。しかし民主主義のない寛容は可能だ」
--寛容で有名な国のフランスは実際に寛容的なのか。イスラム教を信じる移民者問題で寛容の伝統が崩れているのでは。
「フランスは今も寛容的な国だ。ただ、国家理念が世俗主義(secularism)というのが問題を起こす可能性がある。フランスは特定宗教の集団的権利を認めない。フランスのイスラム信者は集団的な権利を望む」
--米国はどうか。
「米国でもイスラムは寛容の対象だ。葛藤はむしろ宗教人と非宗教人の間に生じている。宗教がさらに重要な役割をすべきだと信じるキリスト教徒はイスラム教に対して同じ宗教人として好意的な側面もある」
--中国の浮上は米国のヘゲモニーを脅かすのか。
「米国の経済体制に問題があるのは事実だ。しかし中国にはもっと大きな政治的問題がある。中国のように統制された体制でも人間の欲は葛藤を起こす。米国の衰退と中国の浮上がサッカー試合のようなゼロサムゲームで進行することはないだろうが、その過程は非常に複雑になるだろう」
--中国の浮上で崩れる北東アジア勢力の均衡のために韓国と日本が同じ民主国家として連帯するのはどうか。
「そういう連帯が必要だ。アジアを一つの国が支配するのは望ましくない。韓国と日本だけでなく東南アジアや米国を引き込むことも可能だろう。日本を拘束する効果もある。日本の右傾化を防ぐということだ。ヨーロッパの統合もドイツ民主主義に前向きな役割をする」
「韓日連帯で中国とのバランスを取るべき」イアン・ブルマ氏(2)