人工血管代を患者が寄付 混合診療の疑い

医師自作の直径4センチのステントグラフトと材料。伸縮するため細くしてカテーテルで挿入する
 福島県立医大病院(福島市)が大動脈瘤(りゅう)などの手術を行う際、保険適用外のステントグラフト(骨組み入り人工血管)の費用を患者から寄付金として受け取っていたことが22日、分かった。寄付金は判明分だけでも2004―07年度に17万―57万円の21件、計765万円に上る。保険が適用される手術自体は診療報酬を請求しており、保険診療と保険外診療を組み合わせる原則禁止の「混合診療」に当たる可能性がある。

 ステントグラフトは伸縮する金属製の骨組みを入れた化学繊維製の人工血管。足の付け根の大腿(だいたい)動脈からカテーテルで大動脈に入れ、瘤部分をふさいで出血などを防ぐ。開腹手術に比べ患者の負担が小さい。通常は担当医が自作するが、長さ約15センチのもので材料費が約50万円と高価で、保険は適用されない。

 県立医大病院では1996年ごろから同手術を実施。当初は患者が材料を購入する形で医師が製作していた。02年度からは財団法人福島県医学振興会を通じて患者から材料費分を寄付してもらっていた。

 04年度からは大学事務局が窓口となり、心臓血管外科学講座の研究費名目で寄付を募ってきた。手術前後に患者や家族に「材料費は研究費から拠出するが、予算も苦しいので寄付金として負担してほしい」と説明していた。

 同講座の横山斉教授は「強制しておらず、全額を寄付する患者もいれば、応じない人もいる。寄付の有無で治療方針を変えたことはない」と説明。医大は「混合診療には当たらないと認識しているが、寄付金を受け取ることが適切かどうかは再考したい」(丹羽真一副理事長)として、ほかの診療科目でも同様の寄付金がないか調査する。

 東北厚生局医療指導課は「一部でも保険外であれば混合診療と考えられる」として、事実関係を調べる方針だ。

 関係者によると、海外メーカー製のステントグラフトには保険が適用されるが、注文に時間がかかり緊急手術には間に合わない。価格も医師の自作より高いという。
2008年10月23日木曜日

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社会



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