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2008年10月23日

◎エコドライブ普及 安全運動に通じ「一石二鳥」

 地球温暖化防止対策の一つとして、石川県が今年度、普及に本腰を入れている「エコド ライブ」は、正しく実践すれば悲惨な交通事故の防止にも大いに役に立ちそうである。今年一年間の交通事故死者数を五十人未満に抑えることを目指している県警も、地域の環境保全と交通事故防止の「一石二鳥」を狙って、積極的に県内でのエコドライブ普及に協力してほしい。

 エコドライブとは、燃料の消費量を出来るだけ抑えて二酸化炭素などの排出を減らす運 転方法で、ガソリンの高騰もあり関心を寄せる人が増えている。環境省や警察庁などでつくるエコドライブ普及連絡会は、エコドライブのコツとして、たとえば「ふんわりアクセル」「加減速の少ない運転」「道路交通情報の活用」などの重点項目をまとめて、ドライバーに実践を呼び掛けている。

 要するに、発進の時に一番燃料を消費しやすいから、ゆっくりアクセルを踏もう。走り 出したら出来るだけ一定速度を保ち、急な加速や減速をしないように。カーブや信号、前の車などに注意を払い、急ブレーキを掛けるのを減らそうというわけで、いずれも安全運転に通じることなのである。

 エコドライブの燃費節約効果は実証済みで、石川県は平均20%の燃費改善を目標に、 各地でエコドライブ教室を開いて普及に努めている。県警も七月から、自動車運転免許の更新時講習でエコドライブを紹介するビデオを上映しているが、効果的な交通安全対策の一環として、さらに啓発活動に工夫を凝らしてもらいたい。

 県内では今夏、県や県警、十九市町のほか運輸、建設など関係二十九団体が参加して、 エコドライブ推進協議会が設立された。企業にとって、エコドライブは交通安全やコスト面からも取り組みに力を入れてよい環境活動といえる。県は事業所や学校向けに、独自の「環境ISO登録制度」を設けるなどして地球温暖化防止対策を推進しているが、エコドライブの普及についても県独自の啓発の方法を考えてよいのではないか。そのためにもまず、県や市町職員の率先垂範を望みたい。

◎病院言葉の言い換え 医師への質問も積極的に

 片仮名で表記される外来語のはんらんを改め、分かりやすく伝えるための「言い換え」 に取り組んできた国立国語研究所は、今度はアンケート調査に基づき病院などで聞かされる「医療用語」すなわち「病院言葉」をやさしく、しかも正確に言い換える作業を行い、とりあえず五十七語を選び、その言い換えを提案した。

 専門用語が混じるために、医師の説明が理解できないこともある現状を考えると、医師 が言い換えに努めることはいうまでもないが、患者側も医師への質問を恐れず、納得できるまで尋ねるようにしたいものだ。

 言い換え例として「寛解」(症状が落ち着いて安定した状態)など、まるで意味が分か らない言葉もあるが、分かっているつもりでもその意味を取り違えているといった言葉が少なくないようだ。

 たとえば、「貧血」。血液の中の赤血球や、その中の色素が減っている病気を指す言葉 だが、「立ちくらみ」などといった症状と混同している人が多いといわれる。「頓服」などもそうだ。症状が出たときに薬を飲むことを指すのだが、富山の家庭配置薬のことかと思いやすい。

 インフォームドコンセントとか、セカンドオピニオンとかいう言葉が意識的に使われる ようになってから、患者に熱心に言葉を尽くして説明する医師が増えてきた。医師の説明がのみ込めないまま治療に通うという患者も減ってきた。好ましい傾向だが、それでも全体を眺めると、忙しさの余り説明不足という医師に出会うことがしばしばあるし、忙しそうだからと医師への質問を遠慮する人たちもまだ少なくないようである。

 が、医師も患者も言い換えを覚えて使うようになれば、コミュニケーションが円滑に、 効率的になるはずだ。医療用語の言い換えはそのためにこそ役立つのである。診療時間が短いほど、なおさらそれが必要だ。

 来春に最終的な報告にまとめ、医療現場向けの手引書として市販する。医療用語を分か りやすく、あるいは面白く解説した本はあるが、言い換え集は初めてだ。


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