岩手県一関市の無職、吉田寿子さん=当時(42)=が平成17年、2億円の宝くじに当せんした後に行方不明となり、岩手県警が事件の疑いもあるとみて捜査していたところ、東京都内に住む男が「吉田さんを殺害した」と供述。22日、男の供述に基づき同県陸前高田市内を捜索したところ、供述通り吉田さんの遺体が見つかった。県警は22日、殺人の疑いで東京都台東区、朝日新聞販売所従業(同日付で解雇)、熊谷甚一容疑者(51)を逮捕した。
県警は、宝くじ当せんと事件との関連についても詳しく調べる方針。
調べによると、熊谷容疑者は17年5月初旬、同県陸前高田市内で吉田さんを殺害した疑い。熊谷容疑者は吉田さんの勤務先に出入りしていたことがあり、吉田さんとは顔見知りだった。熊谷容疑者は「私が殺しました」と容疑を認めている。
県警の調べによると、吉田さんは16年夏ごろに賞金2億円の宝くじに当せん。その後の17年4月下旬に行方が分からなくなっていた。また、吉田さんは失踪(しつそう)直前に車を購入。納車待ちだったことから、県警では吉田さんがトラブルに巻き込まれた可能性が高いとみて捜査していた。
県警は同年5月、吉田さんの親族から捜索願を受理。吉田さんの銀行口座の捜査や聞き込みから熊谷容疑者が浮上、21日に熊谷容疑者を警視庁に任意同行していた。
■朝日「重く受け止め」
朝日新聞東京本社販売局は22日、「熊谷容疑者が、弊社の取引先である新聞販売所に雇用される前に、このような事件を起こしていたとして逮捕されたことを大変重く受け止めています。販売所に対して今後、指導を徹底してまいります」とコメントした。同社広報部によると、熊谷容疑者は平成18年9月から、東京都台東区根岸の販売所「ASA鶯谷」に従業員として勤務していた。
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■熊谷容疑者、住民と口論も
熊谷甚一容疑者は事件当時は岩手県内で生活していたとみられるが、今年8月ごろから東京・上野近くの賃貸マンションに引っ越してきた。周辺に引っ越しのあいさつをするなど律義な面もあったが、近所の住民とのトラブルも抱えていたという。
「3人で住むのでよろしくお願いします」。熊谷容疑者は60代の主婦宅に菓子折りを持ってあいさつに来た。外国人とみられる40歳ぐらいの女性と女児と3人暮らしだったという。
近所の女性は「会えば向こうからあいさつしてくる人で、悪いことをする人には見えなかった」と驚く。
一方で、日曜日になると部屋に知人を呼んでパーティーを開いていたといい、騒音の苦情が管理人に伝わっていた。バイクをマンションのゴミ捨て場近くに無断で止めることもあり、住民と口論となることもあったという。
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