少女を縛るリンチと売春
少女ギャング団「羅実阿」二つの地獄

 西尾市を拠点に活動していた10代の少女らで構成するギャンググループ「羅美阿(ラミア)」解散から約3カ月。グループ脱退を示唆した高校1年生のA子=当時(15)=を集団リンチしたとして西尾署などは7月、15―17歳の少女ら10人を傷害容疑で逮捕、グループを解体した。少女らのほとんどは無職。彼女らの供述から売春で稼いだ金をグループの会費に充てていたとみられている―。(弥)
■解体から3カ月、実態に迫る
 「何だ、その髪は? そんな格好したかったらチームに入れ!」
 西尾市内の駅前などで茶髪の少女を見つけては因縁をつける。これが羅美阿の「勧誘方法」だ。4月上旬、A子も同様にグループに入ることを強要された。しかし入団後すぐに組織のルールに嫌気が差した。月会費3000円の支払い、毎週土曜日の定例会参加の義務…。「脱退したい」との思いがA子の頭をよぎった。が決して簡単ではないことがすぐに分かった。
 「1回入ったら最後。退団するためには「けじめ」という制裁を受けなければいけない」
 グループのおきてで脱退するには18歳になるか、警察に捕まるか、妊娠するか。それ以外の方法はメンバー全員から集団リンチを受け、これに耐えることだった。
 「全員でヤキを入れる」。脱退を示唆したA子に対し、頭である西尾市の17歳の少女は「組織ががたがたになるのでルールを守らないといけない」とほかのメンバーに集団リンチを指示。A子は6月6日午後9時ごろ、愛知県吉良町の恵比寿海水浴場に呼び出され、少女12人によって一方的に浜辺で次から次へ頭や顔などを殴るけるなどの暴行を受け、顔面挫傷など約2週間のけがを負った。メンバーには中学2年生の少女=当時(13)=も含まれていた。
 A子は報復を恐れ、当初被害届を出すのをためらった。が、グループの内実はA子にとって意外なものだった。警察関係者によると、逮捕された少女らの大半は「これでやっとギャンググループをやめられる」と安堵(あんど)の笑みを浮かべて話したという。「(逮捕された少女らは)グループから脱退したかったが、今まで恐怖心から実現できなかったのではないか」と警察関係者。
■メンバーの大半は安堵
 退団したかったのはA子だけではなく「ギャンググループに入るのは簡単だが、いったん入れば地獄」の思いはメンバーに共通していたようだ。
 一方、警察は逮捕された少女らの供述に注目した。事件の新たな背景が見え始めたためだ。グループのメンバーだった刈谷市在住の少女(16)の話から、西尾市の暴力団組員の男(20)が18歳未満と知りながら、少女にみだらの行為をしたとして10月9日に逮捕された。
■身を売ってグループ会費に?
 今後の捜査が注目されるが、少女らが売春行為を行いグループへの会費を支払っていた可能性があるという。事実とすれば少女たちはリンチと売春の「二つの地獄」を背負わされながら団で活動してきたことになる。羅美阿の全容解明が待たれる。
【写真説明】集団リンチが行われた愛知県吉良町の恵比寿海水浴場。夏は家族連れなどでにぎわう

(2008年10月20日更新)


20日のニュース

■休刊のお知らせ■
■名タイ誕生の日■
■惜別ざっくばらん対談■
■さよならを言う前に■


コラム



サイト内検索


AND OR
このページの著作権は社団法人名古屋タイムズ社に属します。無断での複写、転載を一切禁じます。
Copyright(C)2008 The Nagoya Times All Right Reserved.