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ヨクバリージョになろう

【ヨクバリージョになろう】

「おまえ」不快・腹立つ8割

2008年10月22日

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漫画家 倉田真由美さん

【アスパラクラブ・アンケート】

《配偶者・恋人》女性78% 男性81%
《上司・先輩》 女性87% 男性70%

「呼ばれないの寂しい」少数派

 「おまえ」って職場や家庭で呼ばれたら、どう感じる?――。朝日新聞が実施したアンケートで、およそ8割の人が「不快」「腹立たしい」と感じていた。「うれしい」は1%にも満たず、「『おれ』『おまえ』の時代は終わった」「一種のパワハラ」との指摘もある。(冨岡史穂)

 朝日新聞の会員サービス「アスパラクラブ」の記者ブログに今夏、仕事やプライベートで「おまえ呼ばわり」されることへの違和感をつづった記事を掲載したところ、読者から多くの反響が寄せられた。このため、7月中の5日間、インターネットでアンケートを実施し、約2万人の回答があった。
 職場などで上司や先輩に「おまえ」と呼ばれたことがある人は男性52%、女性30%で、男性の方が多かった。パートナー(配偶者や恋人)から呼ばれたことがある人は、女性で39%、男性で7%だった。
 自分が「おまえ」と呼ぶかを聞くと、男性の3割強が、職場でもプライベートでも「ある」と答えたが、女性はいずれも数%にとどまり、「おまえ」という呼び方が男性に多い言葉遣いであることを裏付けた。
 女性の78%、男性の81%が、パートナーに「おまえ」と呼ばれたら「腹立たしい」または「なんとなく不快」という選択肢を選んだ。
 「新婚当初、おまえと呼ばれることでよくけんかした(30代、女性)」「(妻に)おまえとは何よ、とすごい剣幕で怒られた(60代、男性)」など、女性の抗議で「おまえ呼ばわり」をやめた男性も多い。
 一方、職場で呼ばれることに否定的な人は、女性で87%、男性70%と、女性に拒否感が強い。男性は、「特に違和感はない」人が26%(パートナーの場合は15%)いた。
 「上司・部下という立場は、人としての上下ではない(50代、女性)」「尊敬できない上司から言われるのは抵抗がある(30代、男性)」との意見に対し、「男の世界で先輩、上司からおまえと呼ばれないほど寂しいことはない(60代、男性)」という人も。
 女性のうち、「おまえ」と呼ばれて「うれしい」という選択肢を選んだ人は1%以下と圧倒的に少なかったが、上司らに呼ばれてうれしい女性(0・3%)よりも、パートナーに呼ばれてうれしい人(1%)の方が多かった。実際に呼ばれた経験がない人(0・7%)よりも、呼ばれたことがある人(2%)の方が、うれしいと感じる女性が多かった。
 会話での相手の呼び方を研究している東京都立国際高校教諭の小林美恵子さんは「目上が目下を『おまえ』と呼ぶのは古くからあり、女性も使っていた。戦後、若い男性同士が連帯意識を込めて『おれ』『おまえ』と呼び合う会話が急増する一方で、おまえは女性一般には使われなくなった。アンケートでは10代以下の女性の14%がパートナーをおまえと呼んでいる。ことばの中性化が進めば、おまえは男性専用ではなくなるかもしれない」と話している。

【ブログの要旨】
 男性が、妻や恋人を「おまえ」と呼ぶ場面に居合わせると、相手を見下しているように聞こえて不愉快になる。一方、自分が友人や職場の上司・同僚から「おまえ」と呼ばれる場合では、違和感がなかったり、腹が立ったり、相手によって感じ方が違う。ブログ読者からは男女ともに賛同意見が多かったが、「おまえと呼ばれたい女性の方が多いはず」「おまえには親しみが込められている」などの投稿もあった。

【漫画家 倉田真由美さん】

●関係はかるの難しい

 「だめんず・うぉ〜か〜」などで知られる漫画家の倉田真由美さん(37)は、アンケート結果に驚いたという。「夫や恋人の『おまえ』が嫌な女性、こんなに多いんですね。私はおまえ扱いされるとしびれちゃうタイプなんですよ」。幼い頃からすごく大好きだった少女漫画では、女性を「おまえ」と呼ぶ、「偉そうでステキなイケメン」が多かったからではないか、と分析する。
 この人には負けてもしょうがない、と思うほどすてきな男性から「格下扱いされる気持ち良さ」を感じるのだという。
 ただし、中途半端な人におまえ扱いされるのは納得いかない。「おまえ扱いが許されるのは、生まれながらのモテ男。福山雅治みたいに圧倒的な格好良さがない人は、やめておいた方がいい。むしろこれからは、女性に優しく接する王子様路線を目指すべきです」という。
 そんな倉田さんだが、上司と部下という立場だけでおまえを乱用する男性には手厳しい。「おまえ扱いは一種のマウンティング(馬乗り)。組織のなかの上下関係だけで、私の人格にマウンティングすることは許せない」
 要は、自分が「おまえ」を使いこなせるタイプか、相手は「おまえ」を許すタイプか、その秤量(しょう・りょう)だ。「年齢や自意識の高さによっても違う。単純な距離感や上下関係だけでは、はかれない。おまえは本当に難しい呼び方です」

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