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【主張】対北支援 日本は原則を貫くべきだ

2008.10.23 03:33
このニュースのトピックス主張

 北朝鮮の核無能力化の見返りとなるエネルギー支援で、日本の負担分を他国が肩代わりする構想が浮上してきた。

 6カ国合意では、核施設の無能力化作業完了の見返りとして、北朝鮮に重油100万トン相当のエネルギー支援を実施する。うち20万トン相当の分担を期待された日本は、日朝間の最大の懸案である拉致問題で進展がない限り、支援に応じない方針を貫いてきた。

 だが、無能力化を年内にも完了させるには日本の負担分を工面する必要もある。今回の肩代わり構想は、豪州、ニュージーランド、欧州連合(EU)など6カ国協議参加国以外から申し出があれば容認するというもので、日米などが調整に入ったという。

 肩代わり構想をめぐって、「日本の発言力や影響力が低下する」「日本が孤立する」といった見方があるが、それは正しくない。北朝鮮が拉致事件を認めて以来、日本政府は核、ミサイル、拉致の包括的解決を基本に掲げ、進展がなければエネルギー支援に応じない方針は協議参加各国の了解を得ている。

 この問題で重要なことは、どの国が支援を負担するかよりも、北朝鮮に約束を完全履行させることだ。第2段階のもう一つの柱である核検証問題でも、米国はあいまいな検証案と引き換えに北のテロ支援国家指定解除に踏み切り、将来に禍根を残しただけでなく、同盟国・日本の対米信頼感を損なう結果となったからだ。

 一方、日本政府は6カ国協議の「第3段階」で焦点となる核廃棄について必要な資金や技術供与の検討に入った。日本は過去にも国際原子力機関(IAEA)を通じて貢献してきたが、今はまだ第2段階すら終えていない。この問題は、次期米政権に先送りされる可能性もあり、検討は慎重に行う必要がある。

 北朝鮮が日朝協議で約束した拉致再調査を果たさない以上、日本政府も基本方針を貫いていくべきだ。北朝鮮は今後も日米の離間を狙ってくるだろうが、日米が連携して「核も、拉致も」実効ある対応を進めることが大切だ。

 日米同盟は重要だが、日本は言うべきはきちんと言うことも必要となる。アジア欧州会議(ASEM)や日中、日韓の首脳会談など外交の機会が続く。麻生太郎首相は日本の立場を十分に主張し、各国を説得してほしい。

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