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NIKKEI NET

社説2 日印連携で金融危機対応を(10/23)

 インドのシン首相が来日し、麻生太郎首相との会談で両国関係の強化や金融危機への対応を含めた地域・国際協力の推進で合意した。

 インドは民主主義の大国で、日本とは基本的価値を共有している。関係強化がもたらす戦略的な重要性は大きいが、政治交流が活発になったのは2005年に当時の小泉純一郎首相が訪印してからだ。

 今回の会談で毎年の首脳訪問や閣僚レベルの政府間交流を継続し、安全保障や地域協力、地球温暖化対策など幅広い分野で連携を強めることになったのは大きな成果である。

 折から世界は米国発の金融危機の嵐に見舞われている。経済規模でアジアのトップの日本と、3位のインドが連携する必要性はかつてなく高まっている。

 シン首相は危機克服への貢献に意欲を示し、日本が提案している国際通貨基金(IMF)を通じた新興国向け緊急融資制度への協力にも前向きだ。インドは約3000億ドルと世界4位の外貨準備を抱える。アジアなどの新興国の経済不安を和らげるうえでも、具体化を急ぐべきである。

 11億人の人口を抱え、中間層の台頭で内需の割合が高いインドは世界経済の下支え役の期待も大きい。金融危機の波及で株価や通貨が下落しているが、シン首相は「影響は比較的軽い」と言う。米国や中国に重点を置いていた日本企業の新たな海外戦略の焦点にもなっている。

 インドに進出する日系企業はこの3年間でほぼ倍増した。直接投資も増えているが、昨年の両国の貿易額は103億ドル。インドの対外貿易の3%弱にとどまる。昨年から始まった経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結が求められるゆえんだ。

 会談では「EPA交渉の実質的進展を歓迎する」として、早期の締結を目指すことを確認した。両国の貿易や投資構造に厚みを持たせるような実のある協定を期待したい。

 インドは原子力分野の協力も要請したが、日本政府は原子力協定の交渉入りを当面見送る方針だ。日本は唯一の被爆国として核不拡散への取り組みを求める義務がある。核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するインドとの原子力協力には慎重にならざるを得ない。

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