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【東京】

受け入れ拒否、妊婦死亡 『みんなギリギリ』墨東病院 産科医不足浮き彫り

2008年10月23日

 脳内出血を起こした出産間近の妊婦(36)が七つの医療機関に受け入れを断られ、その後に死亡した問題は、産科医不足にさらされる医療現場の危うい実態も浮き彫りにした。地元医院からの最初の要請を断った墨田区の都立墨東病院は「複数の当直医をどうしても手当てできず、原則として救急搬送は断っていた。みんなギリギリのところでやっている」と訴えた。 (石川修巳)

 都によると、墨東病院は妊産婦の救命救急に二十四時間対応する「総合周産期母子医療センター」として都の指定を受けており、周産期医療を支える中核病院の一つ。都の基準では「複数の医師の確保が望ましい」とされるが、医師の退職で二人の当直体制が維持できず、七月から休日には一人体制としていた。

 同病院の常勤産科医は現在、四人。都が提示する定数の九人を大きく下回っている。

 同病院周産期センターの林瑞成産科部長は「産科医を簡単に増やせる状況ではなく、産科救急を目指す人はもっと少ない。その中で、どうしたら安全が維持できるか、関係機関と話し合っている」と話す。医師確保のため大学医局への働きかけや待遇改善、女性医師の短時間雇用など「打てる手は打っている」(病院経営本部)という。

 都内の産科医は一九九六年の千五百七十三人から、二〇〇六年には千四百十一人に減少している。

 都の周産期医療協議会による〇八年三月の報告では「予想以上の減少傾向」と指摘。▽女性医師自身の出産や育児のための離職▽医療訴訟の多発などで新たな産科希望の医師の減少−などの要因があると分析している。

 

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