マンションなどの賃貸契約で、敷金や保証金から退去時に一定額を差し引くことを盛り込む「敷引(しきびき)特約」は無効だとして、NPO法人京都消費者契約ネットワーク(京都市中京区)が、消費者団体訴訟制度に基づき、同市内の不動産賃貸会社に対して特約条項の廃止を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、京都地裁(瀧華(たきはな)聡之裁判長)であった。賃貸会社側は、今後特約を使わないことを明記した認諾調書の作成に同意した。
認諾調書は判決なみの効力を持つ。内閣府によると、07年に始まった消費者団体訴訟制度でトラブルが解決したのは初めて。ただ、契約用紙の破棄などをめぐってなお対立があり、訴訟は継続する。
訴状によると、賃貸会社は同市南区に所有するマンションの借り主との間で、「解約引き35万円」などという内容の契約を結んでいた。同ネットワーク側は、本来借り主に返されるべき敷金の一定割合を無条件に返さない敷引特約は、消費者契約法に違反し無効だとしていた。
同ネットワークによると、敷引特約は以前から関西一円や中国、九州の一部で慣行となっている。