給油延長法案:野党一転、対決色も…参院審議

給油延長法案の採決を記名投票で行う衆院本会議=国会内で2008年10月21日午後2時6分、丸山博撮影
給油延長法案の採決を記名投票で行う衆院本会議=国会内で2008年10月21日午後2時6分、丸山博撮影

 新テロ対策特別措置法改正案は21日の衆院本会議で可決され、国会論戦の舞台は参院に移る。政府・与党は月内の法案成立のシナリオを描き、民主党も早期の法案成立を容認する構え。ただ、麻生太郎首相が法案成立直前に衆院解散を先送りする意向を示せば、民主党の国会対応は一転して参院での問責決議案提出も含め、「対決路線」に転じる公算が大きい。

 民主党の菅直人代表代行と国民新党の亀井静香代表代行ら両党幹部が21日、国会内で会談し、給油延長法案の取り扱いを巡って協議した。亀井氏は「徹底審議し、対決姿勢を国民に見せるのが本当のやり方だ」と主張。民主党の「早期成立容認」方針に疑問を呈した。亀井氏はかねて「麻生首相が解散を先送りするようなら参院で問責決議案を提出すべきだ」と主張しており、この場でも持論を展開したとみられる。

 これに対し民主党側は「給油延長法案の早期採決は既定方針だ」と理解を求めた上で「1週間ぐらい様子を見る。2次補正などと言ってきたら徹底抗戦だ」と述べ、首相が追加経済対策を発表する際、2次補正予算について言及するかどうかを見極め、対決路線に転じると明言した。

 民主党の小沢一郎代表も与党に冷水を浴びせた。給油延長法案を採決した21日の衆院本会議場で、国家基本政策委員会の与党筆頭理事を務める自民党の萩山教嚴衆院議員が小沢氏の議席にまで出向き、首相との党首討論開催を直訴した。これに対し、小沢氏は「党首討論をやりたきゃ、(衆院を)解散すればいい」とにべもなく言い放った。

 政府・与党には給油延長法案を巡り、29日に参院本会議で否決されるものの、30日に衆院で3分の2以上の賛成で再可決され成立するとの楽観論がある。民主党の早期採決容認方針は不変と踏んでいるからだ。

 しかし、参院民主党には、金融機能強化法案など他の案件でも政府・与党への対決を求める声も少なくなく「首相が解散を先送りするなら、給油延長法案も徹底抗戦だ」(幹部)との声も出ている。

 その一方で、自民党内では景気後退を受けて、解散先送り論が再浮上。21日の自民党代議士会で、中野正志衆院議員(当選3回)が首相を前に「今解散したら、この中の半数は戻ってこれない」と訴えた。【中村篤志、上野央絵】

毎日新聞 2008年10月21日 21時44分(最終更新 10月22日 12時28分)

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