現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. ヨーロッパ
  5. 記事

ローン返済、突如倍増 アイスランド、円建て人気裏目(1/3ページ)

2008年10月22日3時1分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真レイキャビクで10日、アイスランド中央銀行の前に集まり総裁辞任を求める人たち=AP

図拡大  

図

 家や車のローンの毎月の返済額が急に倍になる――。悪夢みたいな話がアイスランドでは現実になっていた。

 レイキャビクの高校教師、アウスディスさん(47)は2年前にアパートを買った。子供が5人なので広めの約200平方メートル。そのローン返済額が今年初めは月11万4千クローナだったのに今は22万クローナなのだ。

 実は資金を「日本円」で借りた。それがつまずきのもとだった。

 バブル経済で同国通貨クローナは金利が高いうえ、返済額が物価の上昇率に応じて変わる独特の制度もある。それに比べ円はずっと低金利だし、この国のインフレにも振り回されない。返済は円での定額を毎月のレートでクローナに替えて払う。「為替の変動が多少あっても割安」になるはずだった。

 ところが、この春ごろから下落気味だったクローナは金融危機で暴落。ついに1クローナが約1円と年初のほぼ半分の価値に落ちてしまった。

 手取りで26万クローナの月給のほとんどがローン返済に消えるはめになった。生活は大工の棟梁(とうりょう)である夫の収入頼み。

 「通勤は車から燃料代のかからない自転車にかえました。休暇の家族旅行も当分中止」とため息をつく。

 レイキャビク郊外の高級車販売店。経営するルナール・オラフソンさん(36)によると、ここ4、5年は客の9割以上が円などの外貨ローンを利用していた。客が購入を決めると一緒にコンピューターの前に座り、銀行系ローン会社のサイトにアクセスする。提供される各種ローンの中から選んでもらいクリック。

 「人気が高いのは円だった。クローナの金利は2けた台。それが円だと4%ちょっと。ほとんどの客が円を選んでいたよ。だれも日本のお札なんて見たことないけどね。これからは僕も落ち目だな」

と彼もため息。

前ページ

  1. 1
  2. 2
  3. 3

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
  • 中国特集