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「妻の死が何も生かされていない」 奈良の死亡妊婦遺族(1/2ページ)

2008年10月22日

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 近畿地方でも、救急搬送中の妊婦や患者が病院から受け入れを断られて命を落とすケースが相次いでおり、関係機関が対策を模索している。

 06年8月に奈良県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明になり、19病院に転院を断られた末に亡くなった高崎実香(みか)さん(当時32)の夫・晋輔さん(26)は「病院も医師の数も多いはずの東京で、同じような問題が起きるなんて。妻の死が何も生かされていない」と嘆いた。

 同県では07年8月にも、橿原市の妊婦が救急搬送中に11医療機関に受け入れを断られ、死産した。県は再発防止に向け、生命に危険が生じるなどした妊婦を夜間や休日に搬送する際、病院や消防に代わって受け入れ先を探す「妊婦搬送コーディネーター」を導入。今年5月には、県立医大付属病院(橿原市)に総合周産期母子医療センターをオープンさせた。しかし、コーディネーターは人員を確保できず、休日だけの運用。母子医療センターも看護師不足で一部しか稼働できていない。

 兵庫県姫路市でも07年12月、救急搬送中の男性(当時66)が17病院に受け入れを断られ、死亡した。姫路市や市医師会は今年4月、救急車から各病院へ問い合わせて5回断られたら、市消防局指令センターも病院探しに加わる▽受け入れ困難な病院を救急車に積んだパソコンに表示する――など救急搬送を迅速化させるマニュアルを作成した。

 大阪府は緊急の出産手術などに備えた中核施設として、5カ所に総合周産期母子医療センターを整備。連携施設として、地域の周産期母子医療センターも13カ所に設け、24時間態勢で帝王切開などに備えている。しかし、府医療対策課の担当者は「中核施設は国の基準を満たしている。一方で、常勤医の不足に悩んでいる病院もあり、開業医や大学病院の協力でしのいでいるのが実情」と話す。

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