【因数分解】リニア新幹線 「具体案」3ルート JR東海提示、自民が了承
10/22 00:38更新
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《貫通か迂回か 困難な地元調整》
東京と大阪を結ぶリニア中央新幹線構想のうち、首都圏~中京圏間で2025年の開業を目指すJR東海などは10月21日、南アルプスをトンネルで貫いてほぼ直線で結ぶなどの3ルートについて、いずれも地形や地質の面から建設可能とした調査報告書案を自民党リニア特命委員会に示し、了承された。22日に国土交通省へ提出する。
具体案の提示は旧国鉄の民営化後初めて。リニア新幹線の建設が実現に向け前進する。
ただ、最終的なルートや中間駅の設置場所をめぐっては、建設コストや運行時間などから直線を想定するJR東海と、南アルプスを北に迂回(うかい)するルートを主張する長野県など関係自治体との間で意見が対立。今後は一本化に向けた調整が焦点になる。
JR東海の松本正之(まさゆき)社長(64)は、自民党の特命委員会への説明後、「(党の)支援をいただけると考えている。今後、国土交通省に報告し、次の指示をもらってからとなるが、やっとスタート地点に立てる」と記者団に語った。
難航が予想される長野県など地元との調整については「避けられない問題で、きちっと取り組んでいく。地域振興を考え、地元の意見を聞きつつ、当方の考えを示す中で、(結論の)姿が見えてくる」とした。
会合後、特命委の堀内光雄委員長(78)は記者団に「中央新幹線は国家プロジェクトで、民間のJR東海が何を造ってもいいということではない。地元とよく調整してほしい」と述べた。
これを受け、金子一義国交相(65)は21日午前の記者会見で「(着工の前提となる)輸送力や建設費などの追加調査を年内にも指示したい」と、今後の手続きに言及した。
今回の3ルートは、旧国鉄が1987年にまとめた報告でも建設可能と指摘。報告書案でも、地盤や水脈の位置などから建設に問題はないとされた。JR東海は昨年12月、首都圏~中京圏の直線ルートについて約5兆1000億円と試算した建設費を自己負担する方針を表明していた。
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《因数分解すると》
リニア中央新幹線が開業すると、電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用し、車体が浮上しながら時速500キロで走行する「リニアモーターカー」によって、東京~大阪間が約1時間で結ばれる見込みです。
■リニア中央新幹線構想
新幹線の新規建設はすべて、1970年に新幹線技術による全国的な鉄道網の整備を図るためのルールとして制定された「全国新幹線鉄道整備法(全幹法)」に基づいて進められます。
リニア中央新幹線構想も、この全幹法に基づき73年に、東京都から甲府、名古屋、奈良の各市を経由して大阪市を結ぶルートが、基本計画路線として決定されました。
南アルプスなど険しい山岳部が多いため74年に旧国鉄が地形や地質の調査を始め、民営化後の90年からはJR東海などが構想を引き継ぎました。
全幹法の定める手順によれば、実際の着工までには地形地質調査の後、輸送力や技術開発、建設にかかる費用など4項目の調査が必要です。これらの調査をすべて実施したうえで、国土交通相による建設、営業主体の指名を経て現在の基本計画を、建設を前提とする「整備計画路線」に格上げしなければなりません。リニア新幹線の実現には、まだまだ重要な手続きが数多く残っているわけです。
■3ルート
JR東海と独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が共同で作成した調査報告書案は、首都圏~中京圏区間の建設ルートとして、(1)長野県が要望している同県内の茅野から伊那、飯田を通る南アルプスの迂回ルート(2)さらに北西を大きく回って茅野から木曽福島、岐阜県中津川へ抜けるルート(3)南アルプス貫通ルートの3案を示しています。
一方、沿線関係の地方自治体が構成する「リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会」によると、リニア新幹線のもたらす経済効果は、開業後50年間の累計で約15兆円~21兆円。開業1年後では、経済成長率が0%の場合で0・5兆円、成長率2%の場合は0・7兆円が見込まれるようです。
ただ、経済効果の規模や沿線自治体への恩恵は、どの建設ルートが採用されるかで大きく変わります。このため、経済効果に期待する自治体は、JR東海の想定する直線ルートに強く反発。長野県の小坂樫男(おさか・かしお)伊那市長(73)は「リニアは単に大都会だけを結ぶ路線で良いのか。地域発展のためには迂回ルートだ」と力説しています。自民党の堀内委員長が、地元への配慮でJR東海にくぎを刺したのも、このためです。
■中間駅
さらに、JR東海が途中停車の中間駅の建設費について「地元負担」を打ち出したことにも、財政難の問題を抱える自治体からは不満が噴出しています。
山梨県の横内正明(しょうめい)知事(66)は「リニア実験線のためにすでに相当な財政負担などの協力をしてきた」とし、駅施設はJR東海が負担すべきものではないか」と強調しています。
国土交通省は「自治体との調整が済むことがリニア建設の前提」との立場。同省幹部は「JRは『明日にでも着工したい』という勢いだが、地元との調整はこれから。今後の手続きを進めるためには相当時間がかかる」と見通しを示しています。
■自己負担
しかし、自治体との調整で建設ルートが、JR東海の想定と大きく異なるものになれば、25年の開業を目指すシナリオは抜本的な見直しを迫られる可能性もあります。
国の厳しい財政事情から新幹線の新規着工に関しては、北海道、北陸、九州など着工待ちの整備新幹線でさえ、建設財源の確保難から、着工のゴーサインが出せない状況です。
リニア新幹線は、JR東海が建設費の自己負担を表明したことで、計画が前に進み出した経緯があります。仮に建設ルートや中間駅の問題で、費用負担がJR東海の許容範囲を超えることになれば、財源問題による計画の停滞は避けられません。
夢のリニア新幹線実現の行方はまだ予断を許しません。
(SANKEI EXPRESS)
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