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B級グルメが地方を救う [著]田村秀

[掲載]週刊朝日2008年10月24日号

  • [評者]青木るえか

■B級グルメはうまいだけではダメ

 10年ぐらい前に香川県高松市に住んでいたので、さぬきうどんブームをリアルタイムに地元で体験できた。そこでわかったことは「さぬきうどんブームは田尾さん(ブームの元になった『タウン情報かがわ』の当時の編集長で『恐るべきさぬきうどん』の著者・田尾和俊)の突出した書き手としての才能があったればこそ」だったということ。もちろんうどんはうまかった。今でもあの味を思い出して食べたくて食べたくて茫然となることがある。

 でもまあ、茫然となっても絶望はしないし、明治カールのカレー味が通年売られなくなって「ああカールのカレー味が食べたい」と思って茫然となることもあるので、美味しいものなんてその程度のものだ。

 とにかく田尾さんの描くうどんは美味しそうで楽しそうなので、中央メディアが注目するのは当然であった。テレビや雑誌でさぬきうどんがどんどん取り上げられ、「UDON」なんていう映画までできてしまった。各地に“本格”さぬきうどん屋ができ、本場香川へ陸続とさぬきうどんを食べに出かけていく。

『B級グルメが地方を救う』を読んでると、その地方独特のローカルフードや美味しいもので町おこし、という機運が各地に盛り上がっているらしいことがわかる。日本一のローカル県香川で盛り上がったうどんブームを見れば、その動きは当然。各地に「変わった名物フード」がある。どれもきっと、中毒性があって遠くにいったら茫然となる程度にうまいに違いない。満足も一応するだろう。ただ、それだけではダメだろう。面白くないからだ。

 B級グルメでわが町を売りだそうとするなら「わが町の田尾和俊」を探し出さなければダメだ。わが町のしょうもないうまいモノを愛し笑える才能のある人間の確保が急務。それってすごく難しいことだから、付け焼き刃でB級グルメの町おこしなんかやるとかえってヤケドすると思う。町おこしって、ものすごくタイヘンなのだ。

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