福島県立医大(福島市)は22日、04~07年度に付属病院で大動脈瘤(りゅう)を治療した患者21人から、公的な医療保険が適用されない人工血管の材料費に相当する約765万円を、研究費名目の寄付金として受け取っていたと発表した。国が原則禁止としている保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」に当たるかどうか、東北厚生局は調査をする方針。
混合診療は国が指定した高度先進医療などを除き禁止とされ、実施した場合は保険適用分も含め、全額が患者負担となる。原則禁止に批判も強く、昨年11月には東京地裁で違法と判断する判決も出ている。
大学によると、心臓血管外科で02年から、治療後に人工血管の材料費を患者に示し、研究費確保のために寄付を受けてきた。記録が残っている04年度以降で、1人当たり約17万~57万円が寄付されていた。約8割の患者が応じていた。
同大の丹羽真一副理事長は「あくまでも大学が負担した後、任意で寄付をお願いしている。混合診療には当たらない。治療費自体を患者からもらっているとの誤解を生じないよう検討していく」と話した。
東北厚生局医療指導課は「制度は患者の安全性確保が目的。大学が効果や安全性の確立された治療を行い、適正に保険請求を行っているか、事実を確認したい」としている。【松本惇、伊藤絵理子】
毎日新聞 2008年10月22日 19時47分