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小児科医自殺:遺族が2審も敗訴 東京高裁が請求棄却

 99年にうつ病になり自殺した小児科医、中原利郎さん(当時44歳)の遺族が「月8回の宿直など過剰勤務が原因」として、立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)を経営する立正佼成会に賠償を求めた訴訟で、東京高裁(鈴木健太裁判長)は22日、請求を退けた1審・東京地裁判決(07年3月)を支持し、遺族側の控訴を棄却した。

 1審は過重労働を否定したが、高裁は「業務が大きな負荷を与えた」として過重労働とうつ病の因果関係を認めた。ただ、病院側の責任については「精神障害を起こす恐れを具体的に予見できず、安全配慮義務を怠ったとは言えない」と判断した。

 今年、小児科医になった原告で長女の千葉智子さん(26)は記者会見で、「医師が守られない判決で残念。患者さんの命を守るには医師の心身の健康が必須だと実感している。同じ思いをする家族が二度と出ないように願っています」と語った。川人博弁護団長は「判決はうつ病との因果関係を認めたのに、病院側の責任を否定した。使用者責任が問われず、今後、過重労働が拡大しかねない」と批判した。

 中原さんの自殺を巡っては、東京地裁の別の裁判で、労災と認めた判決が確定している。【銭場裕司】

毎日新聞 2008年10月22日 20時00分

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