最終更新: 2008/10/22 20:02

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労災認定の小児科医自殺損害賠償訴訟控訴審判決 東京高裁、遺族らの訴え棄却

小児科医が過労を理由に自殺したと、遺族が病院側に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決で、東京高裁は「病院側は予見できなかった」と遺族らの訴えを退けた。
小児科医・中原利郎さん(当時44)は1999年、疲労からうつ病になり、小児科医の窮状を訴える遺書を残し飛び降り自殺をした。
利郎さんの遺書には「スタッフには疲労蓄積の様子が見てとれ、これが医療ミスの原因になってはと、はらはら毎日の業務を遂行している状態です」、「この閉塞(へいそく)感の中で、わたしには医師という職業を続けていく、気力も体力もありません」とつづられていた。
2008年に父と同じ小児科医となった長女・千葉智子さんは、当時の状況について、「疲れがたまって、追い詰められて、涙を見せたり、家族の前ですることは出てきたかなと思います。『医師なんてろくな仕事じゃない』というような形で、頭ごなしに(医学部進学に)反対するっていう感じでした」と話した。
遺族らが病院側を相手取り、損害賠償を求めた民事裁判の控訴審判決が22日、東京高裁で行われた。
利郎さんをめぐる裁判では、行政訴訟では労災が認められたものの、1審では敗訴した。
22日の控訴審判決では、業務とうつ病の因果関係は認めたものの、「病院側は予見することはできなかった」として、遺族らの訴えを退けた。
この判決について、妻・中原 のり子さんは、会見で「一生懸命働く医療者を守ってくれないのか。真逆の判決を受けて、わたしは司法への不信を感じました」と話した。
智子さんは「父が何のために一生懸命、自分の身を犠牲にして働いていたのかっていうことを、はっきりさせてもらいたい」と話した。
自宅に戻ったのり子さんは「『一生懸命働いたのは自分のせいだ』みたいな、そんなような判決はちょっとかわいそうで、(主人に)報告できないですね」と話し、智子さんは「医師としての道の提示してくれた父に感謝すると同時に、日本の医療をよりよい方向にもっていけるような活動ができたらなって」と話した。
遺族らは、判決文を読み込み、上告するかを決めるという。

(10/22 18:57)


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